2010年06月18日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「アピール残業」と「つきあい残業」


こんにちは。水口です。
今日は「残業」の話です。


■ 「アピール残業」って?

「アピール残業」〜なぜ残業は減らそうとするほど増えるのか
(プレジデント) - Yahoo!ニュース


「アピール残業」という言葉と聞いただけでも、言わんとしている残業の
ことは、なんとなく分かる気が・・・しませんか?

『』内は引用です)
 
『 今年4月、改正労働基準法が施行された。その目玉は、労働者に支払われ
る残業代の割増率を一部引き上げた点である。
 これまでは、会社側に25%増しの給料支払いが義務づけられてきた残業代。
今後、大企業に対しては、月に60時間を超える残業について50%の割り増し
が法律で義務づけられた。違反すれば、経営者に最高で懲役6カ月の刑が科
される労働犯罪となる。

 大和総研でコンサルティング業務を担当する社会保険労務士の廣川明子
氏は、この改正について「ワーク・ライフ・バランスが取れた社会を実現するた
めに、長時間労働を削減することを目的としたもの」と説明する。
 30歳男性の約2割が、週60時間以上働いている統計があり、この数字は
ここ10年ほど変わっていない。これは、5人に1人が、平均して毎日4時間
以上残業していることを意味する。今回の改正により、従業員を長時間働か
せることは、会社にとってさらなる金銭的な負担の増加となる。結果、めでた
く残業時間の減少となるだろうか。
「根本的な解決にはならないだろう。企業は、『余分にお金を払うのだから
残業させてかまわない』と思うかもしれないし、労働者も、『お金をたくさん
もらえるなら残業しよう』という考えも当然出てくる」(廣川氏)』

                                   (上記記事より引用)
とあります。

私が見聞きしている範囲では、さすがに50%という割増率はある程度の
影響がありそうだ・・・とは感じていますが、それで根本的な残業削減ができ
るとも思えない。そんな微妙な感じです。

記事はこう続きます。
 
『 そもそも、なぜ残業はなくならないのだろうか。長時間の残業は、経営側に
とっては人件費の上昇につながる。労働者側にとっても、健康への影響やプラ
イベート時間の減少などデメリットは多い。それでもなくならない残業問題の根
にあるのは、「働かせたい」使用者と「働きたい」労働者の利害が、妙に合致し
てしまっている現状だ。
「私は『アピール残業』と呼んでいるが、会社に遅くまで残っていることが、勤勉
で優秀で格好いいとの風潮がまだまだ根強い。周りが残業していると、早く帰
ろうにも帰りづらい空気になってしまう」(同)
 遅くまで会社に残っていることは、仕事に真剣に取り組んでいることを上司
にアピールする有効な手段でもある。近年進んだ成果主義の賃金制度が、
アピールのための残業を増やしている可能性もある。
「人事評価の要素に『業務効率性』を加えて、定時で帰る従業員を高く評価す
ることも必要だろう」(同)』

                                   (上記記事より引用)

記事にある『「働かせたい」使用者と「働きたい」労働者の利害が、妙に合致して
しまっている現状』は、確かにあるのですが、現状はもう少し複雑。上記の認識は
少し古いように感じます。

というのは、長時間の残業はコンプライアンス上の問題にもからんでくるので、
使用者側も慎重になりつつあるのが現状だからです。『「働かせたい」使用者』と
いう、紋切り型の認識はちょっと古い気がします。

※ とはいえ、これはまだ過渡期。中小企業ではそこまで気を配れていない
   ところも多いですし、業界によっては「長時間残業当たり前」のところも
   まだまだ多いというのが実感ではありますが。


それはそれとして・・・ 「アピール残業」という言葉は、面白いですね。

私は「ムダな残業(がんばれば減らせる残業)」を、
―――――――――――――――――――――――――――――――
□ つきあい残業  (周りの目を気にして「帰りにくい」残業)

□ なりゆき残業  (仕事の段取りが悪くて「帰れない」残業)

□ 定時から本気モード (定時後にじっくり仕事したい「帰らない」残業)
―――――――――――――――――――――――――――――――
の3つに分類しています。

「アピール残業」は、この「つきあい残業」と似ています。ただし、「アピール残業」と
「つきあい残業」がイコールというわけではないと思います。「つきあい残業」には、
アピールとはちょっと違う、「遠慮」というか「空気読み」のような残業もありますし、
「部下が心配だから」という残業もありますので。

「つきあい残業」=「アピール残業」+「空気読み残業」+「心配残業」+・・・
という感じでしょうか。


■ アピール残業を減らすには?

上記記事では 『定時で帰る従業員を高く評価することも必要だろう』とあり
ます。確かに、そういう見方も必要かもしれません。

ただ、「もともと定時で余裕の人」と、「残業を減らして定時で終わらせた人」
を同列に評価することになってしまうなど、難しさもあると思います。たとえば、
「悪い意味で要領が良い」人が高く評価されるようになってしまうと、全体の
モラルの面で悪影響が出ないとも限らないわけです。


ですから私は、まずは「長時間残業したことを評価する」という傾向を無くす
ことだけでも始めるべきではないかと感じています。

仕事で遅くまで残った人のことを「がんばってくれている」高く評価したくなる
気持ちは、多かれ少なかれ誰にでもあるもの。でも、それは少し見直す必要が
あると考えています。

もう少し具体的に言うと、残業してがんばった人を「ねぎらう」のはいいけれど、
それと「評価」は別だと考えるべきだ・・・ ということです。

遅くまで仕事をした人を「ねぎらう」気持ちを持つのは当然のこと。この気持ち
を否定すべきではないでしょう。でも、それと評価を結びつけるのは、組織と
しても、相手のためにも、本来は良くないことなんですよね。


では、これを実践するためには何が必要か・・・ といえば、

これはすごく単純に「管理職がいかに部下の「仕事」を評価できるか?」と
いう点にかかってくるのではないでしょうか?

(残業を含む)「勤務態度」的な部分を評価するのは、結構簡単なこと。
それよりも仕事の内容を評価することの方が難しいものです。
厳しい言い方をすれば「残業してがんばっている」ことばかり評価するのは、
上司の怠慢。それ以外の、特に「仕事の内容」を評価しろという話です。
(これって意外に難しいし、充分できている自信のある人は少ないでしょう)

逆に部下は、残業でアピールするのではなく、仕事の内容でアピールしろと
いうことになりますが、それも上司の評価に影響されますからね・・・。まずは
上司にがんばってもらうべきだと考えます。


そのためにどうすればいいか・・・というと、いろいろあるかもしれませんが、
私は「上司はメモ魔になるしかない」と考えています。

記憶を頼りに評価していると、どうしても残業や勤務態度の印象が強くなり
がちな傾向があるように感じています。仕事の内容についての評価を深める
には、気づいたことをメモしておく習慣は必須だと感じます。


このへんの話は奥深いので、またの機会に踏み込んでみます。

以前にwisdomの連載で『部下のページ』という小技を紹介しましたが、
こちらも参考になるかと思います↓

(NECの「wisdom」というサイトです)
忙しい上司のための、手帳を使ったコミュニケーション術 : 忙しいビジネスパーソンのための手帳術
〜タイムコンシャスなビジネス習慣づくり〜 | Wisdom





今日の記事作成時間は55分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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