「サマータイム」よりも「遅い昼休み」と「お盆休みの分散化」
こんにちは。水口です。
3/25に、こういう記事がありました。
サマータイムや電力の総量規制も 政府、節電で検討 :日本経済新聞
(『』内は引用です)
『 政府は25日午前の電力需給緊急対策本部(本部長・枝野幸男官房長官)で、
夏場にピークを迎える首都圏の電力需要を抑えるための対応策を4月末までに
つくる方針を決めた。具体的には企業など事業者ごとに電力使用量の上限を決
める総量規制や夏の間、始業時刻などを早めるサマータイム(夏時間)の導入と
いった節電策を検討する。(中略)
本部会合で枝野氏は「夏場に大きな需給ギャップが発生することは不可避。
産業部門の事業活動のあり方や国民の生活様式に踏み込んだ抜本的な対策
が必要だ」と指示。閣議後の記者会見では「例えば就業時間に時差をつける」
と説明し、サマータイムの導入やフレックスタイムの拡大に意欲を示した。「計画
停電によらない方法を検討していく」とも強調した。(後略)』
(上記記事より引用)
夏の電力不足対策として「サマータイム」を引き合いに出す人は結構多いの
ですが、本当に効果があるんでしょうか?
■ サマータイムは効果がない?
そもそも、サマータイムは簡単にいうと通常よりも「早く起きて早く寝る」こと。
それにより、夜間の電力使用量が減り、省エネ効果があるといわれます。
(ただし、省エネ効果自体も疑問だという見方もあります)
しかし、この夏に問題になるのは、電力需要のピーク時に電力供給が不足して
しまうことです。夕方や夜の電力需要を減らす(であろう)サマータイムは、この
問題とはあまり関係ないわけです。
実際の夏場の電力需要は、こんなふうに↓推移します。

電気事業連合会のHPにあるグラフです。
(クリックすると大きく表示された元ページが開きます)
このグラフで見ると、電力需要のピークは13時から15時頃にあります。
※ 上記のグラフは横軸がちょっと見づらいのですが・・・、
「エネルギー白書」にも同じデータを元にしたグラフがあり、
そちらの方が時間と需要の関係がわかりやすくなっています。
(http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/index.htm)
サマータイムで出勤〜退社の時刻を早めるにしても、1時間か2時間ですから、
電力需要がピークを迎える前に仕事を終えるというわけにもいきません。
ですから、(需要ピークを抑えるという意味では)効果は期待できません。
※ サマータイムは、夕方〜夜間にかけて計画停電するエリアを出来るだけ
少なくするという面で効果はあるかもしれません。しかし、一番ひっ迫する
時間帯の対策としては、期待できないということです。
■ 少し効果がありそうな「昼休みの分散化」
むしろ、それよりも効果がありそうなのが昼休みの時間帯を分散させることです。
上記のグラフ、真ん中あたりが凹んでいるのが12〜13時・・・ 昼休みです。
つまり、昼休みを分散させれば、電力需要のピークは少し低くなるはずです。
数パーセント程度の効果しか期待できませんが、それでもサマータイムよりは
確実に効果があるはずです。
ただ、昼休みの時間を変えるにしても、時間を早めるよりは、遅くした方が、
より効果が期待できます(もともと午後の方が電力需要が高いので)。
あるいは・・・、もし実施することができるとしたら、もっと効果が高いのが、
シエスタ(昼寝)です。シエスタがある国では、13時〜16時頃に昼寝を取る
そうですから、ちょうどいいですね。
・・・とはいえ、日本では自宅と勤務先が(すぐ行き来できないくらい)離れて
いるのも当たり前ですし、「どこで寝るんだ」ということになってしまいます。
ですから現実味はありませんが・・・。
■ 今年のお盆休みはどうなる?
勤務時間などに関連して話として他に効果があるのは、休日を分散させること。
特に工場などでは、土日稼働して平日休む会社を増やして、電力需要を平準化
することが必要になってくると思います。これは、あまりうれしくない人も多いかと
思いますが・・・、今年は協力するしかないですよね。
そして、もうひとつ効果があるのは「お盆休みの分散化」です。
ちなみに、年間の電気の需要はこんな感じ↓になっているそうです。

こちらも電気事業連合会のHPにあるグラフです。
(クリックすると大きく表示された元ページが開きます)
7月、8月がかなり高いのがわかります。
しかし、8月もお盆休みの時期は、電力需要が大幅に減るそうです。
ここもならして、ピークを抑える(平準化する)ことができるわけです。
■ 業界別にお盆休みをずらしては?
連休の時期をずらすこと自体は、不都合な面もありますし・・・
(たとえば帰省しようにも休みが合わないとか)、うれしくない人も多い
かもしれません。しかし、今年は我慢するしかないですよね。
ですから、そろそろ、いろいろな企業が連休時期を相談し始めることに
なるのではないかと思います。 というのは、各企業バラバラに設定する
よりも、関連する事業所は同時に休む方が節電効果が高くなるからです。
私が昔いた自動車関係の業界を例にとると・・・
たとえば、トヨタがお盆を1週間早め、ホンダは1週間遅めたとしたら、
その両方に供給している部品メーカーは結局ずっと休めません・・・。
それぞれ従業員は分散して休み、生産量も落とすことはできても、建屋
としてはずっと稼働する以上、節電の効果は少なくなってしまいます。
つまり、同じ業界の企業は、まとまって休む方が節電効果が高いわけです。
(もちろん、東京電力の管内だけでなく、全国的にです)
これをやるなら、自動車は一週間早め、電機は一週間遅め・・・という
ように業界別に分けるのが、割と現実的な案だと思います。
※ もちろん、複数の業界に部品を納めている会社もありますから、
すべてが完璧にはいきませんが・・・ やらないよりはいいかと。
そういうお盆休みの変更を行うなら、早いに越したことはありません。
(早く決めた方がより効果をあげられるシフトを組みやすいですし、
個人としてもスケジュールを立てやすくなるので助かります)
経団連などが音頭を取って早めに決めてくれるといいのですが。
もちろん、こうした時間帯の変更だけでなく、個人も会社も節電すること
が大切なのは言うまでもないことです・・・。私はこの夏、冷房なしでどれ
だけ耐えられるか・・・ ちょっと不安ですが (汗)
今日の記事作成時間は60分でした。
では、また次回!


Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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