「上司」である人は知っておくべきこと :仕事のなかの「自己決定感」
こんにちは。水口です。
ちょっと笑ってしまった記事↓がありました。
サラリーマンよりも疲れている、女子中高生の「疲れ・ストレス」の実態
-- 森永製菓調べ (japan.internet.com)
(『』内は引用です)
『ソフトキャンディのロングセラーブランド『ハイチュウ』を販売している森永製菓は、
女子中高生を応援するというコンセプトのもと、彼女たちの疲れ・ストレスの実態
を"疲れている人の代表格"サラリーマンと比較して把握するため、女子中高生
約400人と30代〜50代の男性会社員約400人の合計800人を対象に「疲労
と眠気に関する意識調査」を実施し、その結果を公開した。
女子中高生400人に普段どのくらい疲れ・ストレスを感じているかを聞いた質問
では、
「とても疲れ・ストレスを感じている」と答えたのは全体の 26.5%、
「やや疲れ・ストレスを感じている」と答えたのは57.5%にも及び、
女子中高生の84%が日常的に疲れ・ストレスを感じていることが分かった。
一方、30代〜50代のサラリーマンに対する同じ質問に「疲れ・ストレスを感じて
いる」と回答したのは80%となり、比較すると女子中高生の方がサラリーマン
以上に疲れを感じているという現状が浮かび上がった。
また、日常的に疲れ・ストレスを感じている84%の女子中高生を「女子中学生」
と「女子高校生」で比較したところ、「とても疲れ・ストレスを感じている」と答えた
女子中学生が28.2%、女子高校生が24.8%と、僅差ながら年齢の若い女子
中学生のほうがより強いストレスにさらされていることが分かった。』
(上記サイトより引用:改行のみ追加しています)
「ストレスをためている人」の象徴的存在(?)でもある中年サラリーマンよりも、
女子中高生の方が「疲れ・ストレス」を感じている!という衝撃の結果です。
・・・といっても、中学や高校での生活が実際そんなにストレスが多いかと
いえば、そんなことはまずないでしょう。
もちろん、ときには「いじめ」などの強烈なストレッサーもあるでしょうけど、
平均してみれば、サラリーマンの方がストレスの多い状況にあるはず。
(※ ストレッサー:ストレスのもとになる因子のことです)
たとえば、サラリーマンに「学生時代と今のどちらがストレスが多いですか?」
と聞けば、「今」と答える人が圧倒的に多いでしょう。もちろん、学生には
学生なりのストレスがあるとは思いますが。
では、なぜこういう結果になるのでしょうか?
ひとつは「ストレス耐性」の違いだと思います。
同じストレッサーにさらされても、人によってストレス反応の程度は違います。
たとえば、社会に出ていろいろな経験を積めば、考え方も変わってきますし、
ストレスを発散する方法もいろいろ身につけます。
また、サラリーマンの場合、「ストレスに慣れてしまってる(ストレスあるのが
当たり前になっている)」ことがあるかもしれません。
(これはこれであまり良いことではありませんが・・・)
そもそも・・・ 中高生ぐらいのときって、なにかにつけて「だるい」「かったるい」
と言ってたり、大人よりも我慢がきかなかったりするものです。私だってその頃
はよく言っていたものです。
(私の場合、「だやい」「だっいぇい」でしたが・・・。←北陸地方の方言です)
一言でいうと、大人には「ストレス」と思えないことを、子どもは「ストレス」と
感じて(訴えて)いるということです。
※ もちろん、子どもにも深刻な状況が発生することはあります。
(いじめとか親からの虐待とか・・・)
2つめに、、学生と大人(この場合サラリーマン)の置かれた状況の違いが
考えられます。これは「自己決定感」に関連しています。
たとえば、学生、特に小中高生の場合、一日の行動のなかで行うことの
中で、選択の余地がない(時間割が決まっている)ものが多いです。
学校の授業もそうだし、塾通いをしていればそれも付加されます。
一方、サラリーマンの場合、会議などのアポイントメントを別とすれば、いつ、
何をするかは自分で選択していきます。立場にもよりますが、仕事の中身
そのもの(何をやるか/何をやらないか)を自分の裁量で決められる人も
います。
このような裁量があるかどうかは、仕事へのやる気やストレスの感じやすさ
に影響してきます。
基本的に裁量が大きい方がやる気は高まり、ストレスは少なくなることが
分かっています。
※ 例外的なケースとして、自分の選択にともなう責任が大きい場合、
その責任を負うことにストレスを感じる場合はあります。
そういう意味で、社会人の方が学生よりも自由で、ストレスが少ない面も
あるんですよね。
■ 「自己決定感」を軽視してはいけない
こういう自己決定感、つまり、自分で自分の行動を選択しているという
感覚は、人の内発的動機(いわゆる「やる気」)に大きく影響していること
が心理学等の研究で分かっています。
この自己決定感は決して軽視できません。
たとえば、同じ仕事をするとして、次の2つのやり方があったとします。
―――――――――――――――――――――――――――――
最初に10個の仕事を与えられ、
自分で手順を考えながら実行していく。
―――――――――――――――――――――――――――――
仕事を1つ与えられ、それを実行する。
(それ以降の仕事があるかどうか、どんな仕事かは分からない)
終わったら次の仕事を指示され、また実行する。これを10回くり返す。
―――――――――――――――――――――――――――――
この場合、前者の方がより「自己決定感」が高く、ストレスが少なく、
やりがいを感じやすいものです。
さらに裁量性の高い状況(仕事の内容そのものを自分で決定していく)
になると、責任が増すというプレッシャーはあるものの、自己決定感は
より高く、仕事への満足度も高くなります。
例外的な状況(経験が少なくて進め方が分からないケースなど)を除けば、
自己決定感が高い状況の方が、より望ましいものです。
そして、タイムマネジメントに関しても「自己決定感」は重要です。
たとえば、自分のスケジュールや仕事の進め方は、自分自身が決めるのが
基本。上司が細かいところに口をはさむのは、かえってやる気を失わせて
しまうことがあります。(特にスキルが足りない場合は別です)
スケジュールの決め方(いわゆる「段取り」)には上手い下手がありますから、
ときには指導(ダメ出し)も必要です。しかし、「こうすればいい」と上司が
考えたスケジュールを部下に押し付けるのはよくありません。
たとえば、上司から細かく時刻を指定したタイムスケジュールを渡され、
常にそれに沿って仕事をしなければいけない・・・そんな状況で仕事をする
としたら、かなりストレスがたまりそうですよね。
先ほどの学生と社会人の比較で言えば・・・、
学生の「授業」と社会人の「仕事」、それぞれの内容については、
社会人の方がストレスが高く、進め方(自己決定感)においては、
学生の方が(時間割に従うので)ストレスが高いと考えられます。
※ 「時間割に従うことが悪い」というわけではなく、特に学生の場合、
自律性や協調性を伸ばすためには必要なことだと思います。
逆に、社会人の仕事で自己決定感が感じられないと、相当な
ストレス状態になってしまうことも考えられるわけです。
「こうやれ」と細かく口出しするよりも、できるだけ本人に考えさせる
ことが大事なのです。
今日の記事作成時間は54分でした。
では、また次回!


Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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