2005年09月15日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

時間管理術の7つの嘘 その4 : スキマ時間を活用すれば、うまくいくのか? (2)

前回は、「スキマ時間」を使うことを意識しすぎると、

 スキマ時間に何かをする = 時間をムダにしている罪悪感から逃れる

となってしまう。だから、

 「スキマ時間を活用する」ことに意識を集中してはいけない。
 「その場でしかできない」ことを片付けることに集中すべき。

ということを述べました。



実は、「その場でしかできないこと」の「その場」には、2つの要素が
あります。場所的な制約と時間的な制約です。

前回述べた例は、場所的な制約を含んでいました。
メールの処理を、パソコンから離れた場所でやっても効率は悪い、と
いうのが、それですね。


今回は時間的な制約について考えてみます。

時間的な制約についても、多くの人が語っていますが、
その共通項をまとめると、このようになります。


  まとまった時間にやるべき仕事を、細切れの時間でやろうとすると
  非常に効率が悪い


  まとまった時間は、他のスケジュールが入る前に確保してしまおう
  (スケジュールに入れてしまい、他のアポはそこには入れない)



という感じです。

 ちなみに、あのP・F・ドラッカー氏も『プロフェッショナルの条件』
 という本の中で、こう言っています。
 (『』内は引用です)

  『時間は、大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、
   いかに合計が多くとも役に立たない           』

   (123ページ 1行目より)

 (私が読んだのは新しく編集された本だったのですが、その元に
  なった本は、39年前に出版されたものです・・・すごいですね。)


このことと、スキマ時間についてよく言われる、


  ハンパな時間を使って、細かな仕事をしてしまおう

というのは、表裏一体であり、実は同じことを言っているわけです。


いずれにしても、

 「スキマ」のためにやることを探すのではなく、
 「その場でしかできないこと」を優先した結果、
 「スキマ」でもできる仕事は「スキマ」に持っていく。

というやり方が基本だと思います。
「スキマ」のために、わざわざ仕事を探すことはしないでおきましょう。



  ちなみに、上記のドラッカー氏の言葉ですが・・・、

  発表された年を考えると、これは素晴らしい洞察だと思います。
  しかし、『小さなまとまりでは役に立たない』というのは、私は
  ちょっと言い過ぎではないかと思っています。

  というのは、この言葉をそのまま受け取ると、大きなまとまり時間が
  できるまでは何もできない。ということになってしまいます。


  これは、自分自身に「ズルズル先延ばし病」のウィルスを植えつける
  ことになる、危険な考えだと思います。
  
  大きなまとまりを作るよう意識することは重要です。しかし、小さな
  まとまりしか取れない中でも、できることはあります。


  大きなまとまりが取れない場合にどうしたらいいか、という問題は、
  結構奥が深く、私は現在も研究中です。
  うまくまとまったら、また別の機会に述べてみたいと思います。


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参考文献
P・F・ドラッカー(上田 惇生 編・訳)
プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか.ダイヤモンド社,2000
プロフェッショナルの条件
※この本の今回参照した部分は、
P・F・ドラッカー(上田 惇生 訳)
経営者の条件(日本語版新約).ダイヤモンド社,1995 からの抜粋です。
経営者の条件


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Posted by 水口和彦 at 22:01Comments(0)TrackBack(0)
2005年09月13日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

時間管理術の7つの嘘 その4 : スキマ時間を活用すれば、うまくいくのか? (1)

 「スキマ時間を有効に活用すれば、仕事が効率的に処理できる」

と、言ってる人はたくさんいます。

時間管理本の定番アイテムと言っていいほど、多くの本で書かれている
ことです。


そう言われると、無駄に過ごしてしまうスキマ時間って、結構多いような
気もしてきます。それをうまく使えば、「チリも積もれば山となる」式に、
大きな差になってくるのではないか・・・と思えてきます。


でも、本当にそうでしょうか・・・?


スキマ時間の活用に挑戦した人の例を見てみましょう・・・
(「バタ男」に再び登場してもらいます。)

 この人、「バタ男」は、自分の時間の使い方を見直そうと思い、

  「○○の時間管理術 − あなたの時間が10倍になる!」

 という本を読んでみました。そこには、様々な時間の節約術とともに、
 「スキマ時間を活用すること」と書かれていました。


 そこで、「バタ男」は、自分のスキマ時間について考えてみました。

  「まず、会議に出席したとき・・・席についてから会議が始まる
   までって、いつも5分以上は待たされるんだよな。」
  「この時間に何かできないだろうか・・・?」


 バタ男はそう思い、会議に出るときには、待ち時間に読むための資料を
 持っていくことにしました。

 目を通しておかないと・・と思いながらも、今まで読めていなかった
 資料を読むことができました。バタ男ごきげんです。

  「じゃあ、次の会議の前には何を読もうか・・?よし、これだ!」


 そう思って、バタ男は、その日まだ読めていなかった、Eメールを
 印刷することにしました。しかも、大量に・・・

 会議の前に、それに目を通し、どう返信するかをメモしました。
 そして、自分の席に戻ってから、メモを見ながら返信しました。

 なんだか、スキマ時間が活用できて、とってもいい感じです・・・。


  ※この話は、実話に基づいたフィクションです。


この「バタ男」の行動って、ちょっと変だと思いませんか?

Eメールを処理するのに、いちいち印刷して、それにメモして、
そのメモを見ながら返信を打つ・・・。

・・・ものすごくムダなことをしてますよね。

メールは印刷なんかしないで、その場でさっさと返事をしてしまった
方が、絶対に速いです。よほどややこしいもの以外は。


でも、バタ男は「スキマ時間を活用して、仕事の効率が上がった」と
思っているわけです。


他にも、

 スキマ時間に資料を読んで、時間を活用した気になっていたが、
 後でよく考えると、その資料は読まなくても何の支障もなかった。

なんて例もあります。これは私の体験談です・・・。


なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
私は、こう考えます。


「スキマ時間を活用しないといけない」というプレッシャーを感じる。
         ↓
何かスキマ時間にできることを探す。
でも、そんな都合のいい仕事がたくさんあるわけではない。
         ↓
やらなくてもいい、ムダな仕事を見つける。ムダな仕事を作ってしまう。


こんなメカニズムが働いているのではないでしょうか?

そして、やっかいなのは、こういう状態になっている本人は、
なかなかそのことに気がつかないのです。
(自分の経験を踏まえてそう思います。)


なぜ、自分では気がつかないのか? それは、

スキマ時間に何かをする = 時間をムダにしている罪悪感から逃れる

と、なってしまっているからなのです。


つまり、「スキマ時間をムダにしてはいけない」というプレッシャーを
過度に感じると、罪悪感から逃れるために、別にやらなくてもいいこと
を、せっせとやり始めることになってしまうのです。

本来やらなくてもいいことをやるくらいなら、居眠りでもしていた方が
有意義だったかもしれないのに、こうなってしまうのです。



こんな状態にならないためには、どうしたらいいのでしょうか?
私は、こう考えます。

  「スキマ時間を活用する」ことに意識を集中してはいけません。

   それよりも、

  「その場でしかできない」ことを先にやっつけることが重要です。



例えば、

大量の資料を参照しながら、報告書を作りあげる

 こんな仕事は自分の席にいるときでないと、やりにくいでしょう。
 でも、

○○さんに電話をかけて、アポ取りをする

 こういう仕事は、移動中に携帯を使ってやることも可能ですよね。



まず、「その場でしかできないこと」に注力し、他の場所でもできること
があれば、他の場所にいる時間に回す。

ということを意識し、あまり気合を入れずにやる方が、結果として、
スキマ時間を活用できるようになる、と私は思います。

電車の中で立っている場合などの、何もできない場所では、すっぱりと
あきらめて、本でも読むか、CD学習でもしていればいいと思います。



しかし、なぜ、「時間管理の達人」たちは、スキマ時間を活用しろと
言ってしまうのでしょうか?

確かに、時間管理について語っている人の中には、スキマ時間を
うまく活用している人もいるでしょう。

本人も、そのことを意識しているので、ついつい、
「スキマ時間を活用すれば、時間は増やせる」
的な発言をしてしまうのだと思います。


本当は、こういう達人たちは「スキマ時間の活用」がうまいのではなく、
「その場でしかできないこと」「どこでなら何ができるか」の見極めが
うまいのです。

こういう人は、「なぜ自分のやり方でうまくいっているのか?」という
ことが、実はよく分かっていないのかもしれません。
スポーツの世界でも、すごい選手が、必ずしも教えるのがうまいわけ
ではないですよね。それと同じことだと思います。


というわけで、私からのメッセージです。


 スキマ時間に罪悪感を感じないでください。

 そして、「その場でしかできないこと」を先にやっつけることを
 意識してみてください。


 それが、本当に「スキマ」を活かす近道だと思います。


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Posted by 水口和彦 at 21:47Comments(0)TrackBack(0)

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