時間管理術の7つの嘘 その4 : スキマ時間を活用すれば、うまくいくのか? (2)
前回は、「スキマ時間」を使うことを意識しすぎると、
スキマ時間に何かをする = 時間をムダにしている罪悪感から逃れる
となってしまう。だから、
「スキマ時間を活用する」ことに意識を集中してはいけない。
「その場でしかできない」ことを片付けることに集中すべき。
ということを述べました。
実は、「その場でしかできないこと」の「その場」には、2つの要素が
あります。場所的な制約と時間的な制約です。
前回述べた例は、場所的な制約を含んでいました。
メールの処理を、パソコンから離れた場所でやっても効率は悪い、と
いうのが、それですね。
今回は時間的な制約について考えてみます。
時間的な制約についても、多くの人が語っていますが、
その共通項をまとめると、このようになります。
まとまった時間にやるべき仕事を、細切れの時間でやろうとすると
非常に効率が悪い
まとまった時間は、他のスケジュールが入る前に確保してしまおう
(スケジュールに入れてしまい、他のアポはそこには入れない)
という感じです。
ちなみに、あのP・F・ドラッカー氏も『プロフェッショナルの条件』
という本の中で、こう言っています。
(『』内は引用です)
『時間は、大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、
いかに合計が多くとも役に立たない 』
(123ページ 1行目より)
(私が読んだのは新しく編集された本だったのですが、その元に
なった本は、39年前に出版されたものです・・・すごいですね。)
このことと、スキマ時間についてよく言われる、
ハンパな時間を使って、細かな仕事をしてしまおう
というのは、表裏一体であり、実は同じことを言っているわけです。
いずれにしても、
「スキマ」のためにやることを探すのではなく、
「その場でしかできないこと」を優先した結果、
「スキマ」でもできる仕事は「スキマ」に持っていく。
というやり方が基本だと思います。
「スキマ」のために、わざわざ仕事を探すことはしないでおきましょう。
ちなみに、上記のドラッカー氏の言葉ですが・・・、
発表された年を考えると、これは素晴らしい洞察だと思います。
しかし、『小さなまとまりでは役に立たない』というのは、私は
ちょっと言い過ぎではないかと思っています。
というのは、この言葉をそのまま受け取ると、大きなまとまり時間が
できるまでは何もできない。ということになってしまいます。
これは、自分自身に「ズルズル先延ばし病」のウィルスを植えつける
ことになる、危険な考えだと思います。
大きなまとまりを作るよう意識することは重要です。しかし、小さな
まとまりしか取れない中でも、できることはあります。
大きなまとまりが取れない場合にどうしたらいいか、という問題は、
結構奥が深く、私は現在も研究中です。
うまくまとまったら、また別の機会に述べてみたいと思います。
「4つめの嘘」は、参考になったでしょうか?。
参考になった!という方は、
ぜひクリックをおねがいします
参考文献
P・F・ドラッカー(上田 惇生 編・訳)
プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか.ダイヤモンド社,2000
※この本の今回参照した部分は、
P・F・ドラッカー(上田 惇生 訳)
経営者の条件(日本語版新約).ダイヤモンド社,1995 からの抜粋です。
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スキマ時間に何かをする = 時間をムダにしている罪悪感から逃れる
となってしまう。だから、
「スキマ時間を活用する」ことに意識を集中してはいけない。
「その場でしかできない」ことを片付けることに集中すべき。
ということを述べました。
実は、「その場でしかできないこと」の「その場」には、2つの要素が
あります。場所的な制約と時間的な制約です。
前回述べた例は、場所的な制約を含んでいました。
メールの処理を、パソコンから離れた場所でやっても効率は悪い、と
いうのが、それですね。
今回は時間的な制約について考えてみます。
時間的な制約についても、多くの人が語っていますが、
その共通項をまとめると、このようになります。
まとまった時間にやるべき仕事を、細切れの時間でやろうとすると
非常に効率が悪い
まとまった時間は、他のスケジュールが入る前に確保してしまおう
(スケジュールに入れてしまい、他のアポはそこには入れない)
という感じです。
ちなみに、あのP・F・ドラッカー氏も『プロフェッショナルの条件』
という本の中で、こう言っています。
(『』内は引用です)
『時間は、大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、
いかに合計が多くとも役に立たない 』
(123ページ 1行目より)
(私が読んだのは新しく編集された本だったのですが、その元に
なった本は、39年前に出版されたものです・・・すごいですね。)
このことと、スキマ時間についてよく言われる、
ハンパな時間を使って、細かな仕事をしてしまおう
というのは、表裏一体であり、実は同じことを言っているわけです。
いずれにしても、
「スキマ」のためにやることを探すのではなく、
「その場でしかできないこと」を優先した結果、
「スキマ」でもできる仕事は「スキマ」に持っていく。
というやり方が基本だと思います。
「スキマ」のために、わざわざ仕事を探すことはしないでおきましょう。
ちなみに、上記のドラッカー氏の言葉ですが・・・、
発表された年を考えると、これは素晴らしい洞察だと思います。
しかし、『小さなまとまりでは役に立たない』というのは、私は
ちょっと言い過ぎではないかと思っています。
というのは、この言葉をそのまま受け取ると、大きなまとまり時間が
できるまでは何もできない。ということになってしまいます。
これは、自分自身に「ズルズル先延ばし病」のウィルスを植えつける
ことになる、危険な考えだと思います。
大きなまとまりを作るよう意識することは重要です。しかし、小さな
まとまりしか取れない中でも、できることはあります。
大きなまとまりが取れない場合にどうしたらいいか、という問題は、
結構奥が深く、私は現在も研究中です。
うまくまとまったら、また別の機会に述べてみたいと思います。
「4つめの嘘」は、参考になったでしょうか?。
参考になった!という方は、
ぜひクリックをおねがいします
参考文献
P・F・ドラッカー(上田 惇生 編・訳)
プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか.ダイヤモンド社,2000
※この本の今回参照した部分は、
P・F・ドラッカー(上田 惇生 訳)
経営者の条件(日本語版新約).ダイヤモンド社,1995 からの抜粋です。
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時間管理術の7つの嘘 その4 : スキマ時間を活用すれば、うまくいくのか? (1)
「スキマ時間を有効に活用すれば、仕事が効率的に処理できる」
と、言ってる人はたくさんいます。
時間管理本の定番アイテムと言っていいほど、多くの本で書かれている
ことです。
そう言われると、無駄に過ごしてしまうスキマ時間って、結構多いような
気もしてきます。それをうまく使えば、「チリも積もれば山となる」式に、
大きな差になってくるのではないか・・・と思えてきます。
でも、本当にそうでしょうか・・・?
スキマ時間の活用に挑戦した人の例を見てみましょう・・・
(「バタ男」に再び登場してもらいます。)
この人、「バタ男」は、自分の時間の使い方を見直そうと思い、
「○○の時間管理術 − あなたの時間が10倍になる!」
という本を読んでみました。そこには、様々な時間の節約術とともに、
「スキマ時間を活用すること」と書かれていました。
そこで、「バタ男」は、自分のスキマ時間について考えてみました。
「まず、会議に出席したとき・・・席についてから会議が始まる
までって、いつも5分以上は待たされるんだよな。」
「この時間に何かできないだろうか・・・?」
バタ男はそう思い、会議に出るときには、待ち時間に読むための資料を
持っていくことにしました。
目を通しておかないと・・と思いながらも、今まで読めていなかった
資料を読むことができました。バタ男ごきげんです。
「じゃあ、次の会議の前には何を読もうか・・?よし、これだ!」
そう思って、バタ男は、その日まだ読めていなかった、Eメールを
印刷することにしました。しかも、大量に・・・
会議の前に、それに目を通し、どう返信するかをメモしました。
そして、自分の席に戻ってから、メモを見ながら返信しました。
なんだか、スキマ時間が活用できて、とってもいい感じです・・・。
※この話は、実話に基づいたフィクションです。
この「バタ男」の行動って、ちょっと変だと思いませんか?
Eメールを処理するのに、いちいち印刷して、それにメモして、
そのメモを見ながら返信を打つ・・・。
・・・ものすごくムダなことをしてますよね。
メールは印刷なんかしないで、その場でさっさと返事をしてしまった
方が、絶対に速いです。よほどややこしいもの以外は。
でも、バタ男は「スキマ時間を活用して、仕事の効率が上がった」と
思っているわけです。
他にも、
スキマ時間に資料を読んで、時間を活用した気になっていたが、
後でよく考えると、その資料は読まなくても何の支障もなかった。
なんて例もあります。これは私の体験談です・・・。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
私は、こう考えます。
「スキマ時間を活用しないといけない」というプレッシャーを感じる。
↓
何かスキマ時間にできることを探す。
でも、そんな都合のいい仕事がたくさんあるわけではない。
↓
やらなくてもいい、ムダな仕事を見つける。ムダな仕事を作ってしまう。
こんなメカニズムが働いているのではないでしょうか?
そして、やっかいなのは、こういう状態になっている本人は、
なかなかそのことに気がつかないのです。
(自分の経験を踏まえてそう思います。)
なぜ、自分では気がつかないのか? それは、
スキマ時間に何かをする = 時間をムダにしている罪悪感から逃れる
と、なってしまっているからなのです。
つまり、「スキマ時間をムダにしてはいけない」というプレッシャーを
過度に感じると、罪悪感から逃れるために、別にやらなくてもいいこと
を、せっせとやり始めることになってしまうのです。
本来やらなくてもいいことをやるくらいなら、居眠りでもしていた方が
有意義だったかもしれないのに、こうなってしまうのです。
こんな状態にならないためには、どうしたらいいのでしょうか?
私は、こう考えます。
「スキマ時間を活用する」ことに意識を集中してはいけません。
それよりも、
「その場でしかできない」ことを先にやっつけることが重要です。
例えば、
大量の資料を参照しながら、報告書を作りあげる
こんな仕事は自分の席にいるときでないと、やりにくいでしょう。
でも、
○○さんに電話をかけて、アポ取りをする
こういう仕事は、移動中に携帯を使ってやることも可能ですよね。
まず、「その場でしかできないこと」に注力し、他の場所でもできること
があれば、他の場所にいる時間に回す。
ということを意識し、あまり気合を入れずにやる方が、結果として、
スキマ時間を活用できるようになる、と私は思います。
電車の中で立っている場合などの、何もできない場所では、すっぱりと
あきらめて、本でも読むか、CD学習でもしていればいいと思います。
しかし、なぜ、「時間管理の達人」たちは、スキマ時間を活用しろと
言ってしまうのでしょうか?
確かに、時間管理について語っている人の中には、スキマ時間を
うまく活用している人もいるでしょう。
本人も、そのことを意識しているので、ついつい、
「スキマ時間を活用すれば、時間は増やせる」
的な発言をしてしまうのだと思います。
本当は、こういう達人たちは「スキマ時間の活用」がうまいのではなく、
「その場でしかできないこと」「どこでなら何ができるか」の見極めが
うまいのです。
こういう人は、「なぜ自分のやり方でうまくいっているのか?」という
ことが、実はよく分かっていないのかもしれません。
スポーツの世界でも、すごい選手が、必ずしも教えるのがうまいわけ
ではないですよね。それと同じことだと思います。
というわけで、私からのメッセージです。
スキマ時間に罪悪感を感じないでください。
そして、「その場でしかできないこと」を先にやっつけることを
意識してみてください。
それが、本当に「スキマ」を活かす近道だと思います。
【続きへ】
【時間管理術の7つの嘘 目次へ戻る】
と、言ってる人はたくさんいます。
時間管理本の定番アイテムと言っていいほど、多くの本で書かれている
ことです。
そう言われると、無駄に過ごしてしまうスキマ時間って、結構多いような
気もしてきます。それをうまく使えば、「チリも積もれば山となる」式に、
大きな差になってくるのではないか・・・と思えてきます。
でも、本当にそうでしょうか・・・?
スキマ時間の活用に挑戦した人の例を見てみましょう・・・
(「バタ男」に再び登場してもらいます。)
この人、「バタ男」は、自分の時間の使い方を見直そうと思い、
「○○の時間管理術 − あなたの時間が10倍になる!」
という本を読んでみました。そこには、様々な時間の節約術とともに、
「スキマ時間を活用すること」と書かれていました。
そこで、「バタ男」は、自分のスキマ時間について考えてみました。
「まず、会議に出席したとき・・・席についてから会議が始まる
までって、いつも5分以上は待たされるんだよな。」
「この時間に何かできないだろうか・・・?」
バタ男はそう思い、会議に出るときには、待ち時間に読むための資料を
持っていくことにしました。
目を通しておかないと・・と思いながらも、今まで読めていなかった
資料を読むことができました。バタ男ごきげんです。
「じゃあ、次の会議の前には何を読もうか・・?よし、これだ!」
そう思って、バタ男は、その日まだ読めていなかった、Eメールを
印刷することにしました。しかも、大量に・・・
会議の前に、それに目を通し、どう返信するかをメモしました。
そして、自分の席に戻ってから、メモを見ながら返信しました。
なんだか、スキマ時間が活用できて、とってもいい感じです・・・。
※この話は、実話に基づいたフィクションです。
この「バタ男」の行動って、ちょっと変だと思いませんか?
Eメールを処理するのに、いちいち印刷して、それにメモして、
そのメモを見ながら返信を打つ・・・。
・・・ものすごくムダなことをしてますよね。
メールは印刷なんかしないで、その場でさっさと返事をしてしまった
方が、絶対に速いです。よほどややこしいもの以外は。
でも、バタ男は「スキマ時間を活用して、仕事の効率が上がった」と
思っているわけです。
他にも、
スキマ時間に資料を読んで、時間を活用した気になっていたが、
後でよく考えると、その資料は読まなくても何の支障もなかった。
なんて例もあります。これは私の体験談です・・・。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
私は、こう考えます。
「スキマ時間を活用しないといけない」というプレッシャーを感じる。
↓
何かスキマ時間にできることを探す。
でも、そんな都合のいい仕事がたくさんあるわけではない。
↓
やらなくてもいい、ムダな仕事を見つける。ムダな仕事を作ってしまう。
こんなメカニズムが働いているのではないでしょうか?
そして、やっかいなのは、こういう状態になっている本人は、
なかなかそのことに気がつかないのです。
(自分の経験を踏まえてそう思います。)
なぜ、自分では気がつかないのか? それは、
スキマ時間に何かをする = 時間をムダにしている罪悪感から逃れる
と、なってしまっているからなのです。
つまり、「スキマ時間をムダにしてはいけない」というプレッシャーを
過度に感じると、罪悪感から逃れるために、別にやらなくてもいいこと
を、せっせとやり始めることになってしまうのです。
本来やらなくてもいいことをやるくらいなら、居眠りでもしていた方が
有意義だったかもしれないのに、こうなってしまうのです。
こんな状態にならないためには、どうしたらいいのでしょうか?
私は、こう考えます。
「スキマ時間を活用する」ことに意識を集中してはいけません。
それよりも、
「その場でしかできない」ことを先にやっつけることが重要です。
例えば、
大量の資料を参照しながら、報告書を作りあげる
こんな仕事は自分の席にいるときでないと、やりにくいでしょう。
でも、
○○さんに電話をかけて、アポ取りをする
こういう仕事は、移動中に携帯を使ってやることも可能ですよね。
まず、「その場でしかできないこと」に注力し、他の場所でもできること
があれば、他の場所にいる時間に回す。
ということを意識し、あまり気合を入れずにやる方が、結果として、
スキマ時間を活用できるようになる、と私は思います。
電車の中で立っている場合などの、何もできない場所では、すっぱりと
あきらめて、本でも読むか、CD学習でもしていればいいと思います。
しかし、なぜ、「時間管理の達人」たちは、スキマ時間を活用しろと
言ってしまうのでしょうか?
確かに、時間管理について語っている人の中には、スキマ時間を
うまく活用している人もいるでしょう。
本人も、そのことを意識しているので、ついつい、
「スキマ時間を活用すれば、時間は増やせる」
的な発言をしてしまうのだと思います。
本当は、こういう達人たちは「スキマ時間の活用」がうまいのではなく、
「その場でしかできないこと」「どこでなら何ができるか」の見極めが
うまいのです。
こういう人は、「なぜ自分のやり方でうまくいっているのか?」という
ことが、実はよく分かっていないのかもしれません。
スポーツの世界でも、すごい選手が、必ずしも教えるのがうまいわけ
ではないですよね。それと同じことだと思います。
というわけで、私からのメッセージです。
スキマ時間に罪悪感を感じないでください。
そして、「その場でしかできないこと」を先にやっつけることを
意識してみてください。
それが、本当に「スキマ」を活かす近道だと思います。
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