2008年11月10日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

ちょっとしたフォローが効果的!・・・ 「期限にルーズな人」への対処法


こんにちは。水口です。

今日は昨日の話の続きです。


■ 「仕事の期限にルーズな人」への対処法は?

昨日は、「時間にルーズな人」への対処法の話をしましたが、これとは違った
「ルーズさ」のある人もいます。「仕事の期限にルーズな人」です。

「仕事の期限にルーズ」といっても、色々タイプはあります。

たとえば、

 ・ 仕事量はそうでもなさそうなのに、よく仕事が遅れるタイプ

    根っからの「ルーズ」なタイプ。仕事が遅れたこと自体、あまり悪い
    と思っていない(ように見える)ことも。周りはイライラするけど、
    本人はあくまでマイペース(に見えます)。

 ・ 仕事を抱え込み過ぎて、ついつい仕事が遅れてしまうタイプ

    本人自身も悪いと思っているので周りから見ても気の毒なタイプ。
    とはいえ、期限が遅れたことをきつく責めることもできなかったり
    するなど、こちらがストレスを溜めてしまうことも・・・。

という2つのタイプの人は、実際に私も経験しました。


ちなみに、このブログをお読みの方には、前者のタイプはいないと思います。
そういうタイプの人は、自ら時間管理の知識を得ようとは、あまり考えること
がないと思います。

自分が後者のタイプに当てはまるかも・・・と思う方はいるかもしれません。
そういう方には、「時間管理」を行うことをおすすめしますが、今日のところは
それは置いておいて、あくまでも「ルーズな人への対処法」として考えてみて
ください。


■ 「期限にルーズな人」への対処法: 効果的ではない事例

そういう「期限にルーズな人」に対して、

  期限の遅れに対して、厳しく指導することが大事

と考える上司の方は多いと思います。
実際に、私が見聞きした事例もあります。


ところが、このやり方は、実際にはそれほど効果はないと感じます。

たとえば、新入社員のうちなどであれば、仕事の上での「納期」が重要な
ことを理解してもらうために厳しく指導する、というのも効果があると思い
ます。

しかし、入社して何年も(あるいは十何年も)経っている人の場合、今まで
にも色々怒られたり、文句を言われたりしてきているわけです。それでも
直らないのなら、やり方を変えるしかありません。


■ 効果的ではない理由: 行動分析学から

また、「期限が遅れた」ことに対して、いくら厳しく指導してもあまり効果が
ないというのは、「行動分析学」的にも説明がつきます。

「行動分析学」という学問は、なんだかものものしい名前ですが、もっと
平たく言うと、

  行動分析学 = 「習慣づけ」を科学的に考える学問

と言ってもいいと思います。

無意識的なものも含めて、「ついやってしまう行動」をやめるための
メカニズムや、逆に「やりたいけれども続かない行動」を続けるために
どうすればいいかを研究している学問です。


この行動分析学では、フィードバックを早く行うことが重要だと言われて
います。これを簡単に言うと、犬のしつけと同じです。

犬のしつけでは、「良いことをしたらすぐほめる」「悪いことをしたらすぐに
しかる」ことが大事だというのは、ご存じの方も多いと思います。

人間もそれと同じだ・・・というと、「犬と一緒にしないでよ」と思う人も
いるかもしれませんが、これは実際に実験でも確認されていることです。

すぐほめられると(あるいは、すぐ効果が得られると)、その行動は習慣に
なりやすい(その行動が「強化される」と言います)というメカニズムは、
人間にもまったく同じようにあるそうです。

※ もちろん、人間の場合、自分の行動の意味や影響を、時系列を
   さかのぼって考えることもできます。ですから、犬とまったく同じと
   いうわけではありません(そこに行動分析学の限界もあります)。

   しかし、行動分析学的なアプローチが実際に効果があるという
   事例は数多くありますし、このアプローチは決して軽視できません。


先のケース(仕事の期限に遅れる)の場合、

  結果としての問題は・・・
  仕事の期限(ゴール)が遅れたこと

  実際に良くない行動(直すべき行動)は・・・
  仕事のスタートが遅いこと

です。

「期限に遅れた」という事態が発覚した時点では、すでに問題の行動
(仕事をスタートしていないこと)から、ずいぶん時間が経ってしまって
いますから、この時点で厳しく指導しても効果は薄いわけです。



■ 「期限にルーズな人」への対処法: 効果的な事例は?

では、どういう指導が効果的かというと・・・一言でいうと、

  遅れたことを責めるよりも、遅れる前の時点で指導する

  (または本人に考えさせる)

しかありません。ゴールの時点であれこれ言っても効果は薄いですから、
スタートに近い時点で言うしかないわけです。


□ 事前の「質問」が効果的

これは、それほど難しいことではありません。
たとえば、仕事の期限の数日前に、

  「○○の件、順調に進んでます?」

といった質問をするだけでも違います。

もし、本人がその仕事のことを忘れていたら、ドキッとするでしょうし、
考えるきっかけになります。また、もし遅れていることが発覚したら、
早い段階で対処することにもつながります。


□ 面倒だけど、やったほうがいい

もちろん、これは実際にやるのは面倒なものです。

  「なんで、人の仕事の進み具合まで心配しなきゃいけないんだ」
  「期限に間に合わせるのが当たり前だろう」

と思うこともあると思います。それでも、その人の仕事が遅れることで
後で起こる問題に対応することに比べれば、こちらの方が楽なことは
多いはずです。ここは冷静に、損得勘定でいきましょう。

また、こうして事前にフォローすることが続くと、本人の仕事の進め方
も、多少は変わってきます。ですから、あまりイライラせずに、やってみて
はいかがでしょうか。


□ 実際のやり方

実際に行うときには、こうやります。

・ 仕事の予定が決まった時点で(期限が決まった時点で)、
  その相手に上記の質問をする日を決めてしまいます

   (仕事の内容によりますが、納期の1週間前や2〜3日前など)

・ 自分のスケジュールのその日(フォローする日)の日付に、
  「□□さんに○○の件を確認する」と書いておく

  (フォローすることを自分の「タスク」として書いておくわけです)

・ フォロー当日に上記のように聞く

  (「○○の件、順調に進んでます?」「○○の件、いつできます?」等々)

このようにすると、「期限の○日前に確認しなければ・・・」ということを
いちいち考えなくて済むので、自分自身の負担はあまり増えません。
実際やってみると、あまり手間はかからないと分かって頂けるはずです。

もちろん、相手が期限に間に合うように仕事をしてくれるようになれば、
毎回聞く必要はなくなります。


※ このやり方は、いろいろ応用が利きます。
  たとえば、プロジェクトマネジメントの中でクリティカルパス上のタスク
  (特に遅れてはいけない仕事)の進捗をフォローするためにも使えます。


■ こちらもご参考に

今日紹介した考え方をベースにした、

  タイムコンシャスな組織づくりのための「リーダーの3つの心得」

というものを、今年、NECさんのサイト「Wisdom」での連載記事でも
紹介しています。(会員登録が必要ですが、無料です)

(↓第3回:チームとしての時間活用法 がそうです)
チームとしての時間活用法 : タイムコンシャスな人づくり・組織づくり | Wisdom

(連載のトップページはこちら↓)
タイムコンシャスな人づくり・組織づくり | Wisdom

よろしければご参照ください。


ちなみに、同サイト(Wisdom)での新しい連載記事を、現在進めています。
第1回は現在、原稿の最終直し中。もうすぐ公開(来週くらい?)です。

今回は、なんと・・・手帳のプレゼント企画もあるという、太っ腹?ぶりです。
↓Wisdomに登録して頂けると、メールでも紹介が届きますので便利かと。

(Wisdomのトップページはこちらです↓)
Wisdom 〜ビジネスに役立つ「次の一手」をあなたに




今日は長くなりましたが、「時間や期限にルーズな人」と仕事をするためには、
「結果」をガミガミ言ったり、自分がイライラしたりするよりも、ちょっとした
フォローやコミュニケーションが効果的。というのは、時間管理における1つの
鉄則かもしれません。なにか、できることから始めてみてはいかがでしょうか。



今日の記事作成時間は72分でした。

では、また明日!
  

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Posted by 水口和彦 at 23:55Comments(0)TrackBack(0)
2006年03月31日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

ホウレンソウには気をつけろ! Part 2


こんばんは。水口です。

まずは報告を・・・

「超カンタン!時間管理術」ですが、amazonの在庫が復活しました!
今なら注文できるようです。


さて、今日は昨日の続きで、行動分析学の話です。


昨日の話は・・・

 「やりたくない」はずなのに、やってしまうこと

 「やりたい」はずなのに、できないこと

そこには、自分の本来の意志と別のところで、
「強化」と「弱化」の原理が働いているかも?

という話でした。


強化・弱化の原理を簡単にまとめると、こんな感じです。

 何かをする → ごほうびがもらえる → 行動が強化される

 何かをする → 嫌なことが起こる  → 行動が弱化される


何か行動をして、ごほうび(好子と呼びます)をもらえることが
くり返されると、無意識にその行動を取りたくなる(強化)。

何か行動をして、嫌なこと(嫌子と呼びます)が起こることが
繰り返されると、無意識にその行動を取りたくなくなる(弱化)。

ということです。


そして、重要なのは好子、嫌子ともに、行動の直後に与えられないと
効果がないのです。

犬をしつけるときは、悪いことをしたら、すぐに起こらないといけない、
というのと同じですね。人間も同じなんです。

ちなみに、その直後というのは60秒以内が目安だそうです。



さて、ちょっと脱線しますが・・・

行動分析学的に見ると、パチンコは非常によくできています。


玉が出る(得をする:好子) → 出るときは一度にたくさん

玉が減る(損をする:嫌子) → 減るのは少しずつ

となっていて、


好子による行動の強化は大きく、嫌子による行動の弱化は
小さくなるように設計されているのです。すごいですね。
ハマってしまう人がいるのも分かります。

ちなみに、私はハマったことがないのですが、それは、
ほとんどお店に入ったことがないからかもしれません。
あの、うるさいのが苦手なんです。

  パチンコ店に入る → うるさい(嫌子)

という弱化のメカニズムが働いているのでしょうか・・?



さて、部下がホウレンソウしてくれないという人の話に戻ります。

その人が、部下の話を聞くときには、特徴がありました。

ついつい、「なぜそうなったんだ!」と問い詰めるように
言ってしまうのです。

そして、さすがに相手に悪いと思うのでしょう、最後は、
「報告してくれてありがとう」とフォローをしていました。


これは、損をしていますよね。

本人は、ちゃんとフォローしたから、まあいいだろうと
思っているのですが、部下の立場に立つと・・・


 相談する → 怒られる(嫌子 → 弱化)

 最後のフォローは、時間差がありすぎて効果なし。

となってしまいます。

こういうことが繰り返されると、無意識に「相談したくない」という
気持ちになってしまうわけです。


同じ内容のことを言ったとしても、順番を変えるだけで、
結果は全然違ったでしょう。

 相談する → まず「ありがとう」(好子 → 強化)

 そして、いいところを述べた後で、問題点について指摘を始める。
 時間差があるので、相談という行動に弱化は起こらない。

となるはずなのです。


同じ内容でも、順番を変えるだけで、相手への働きかけが
まったく逆になるのです。


人は、相手の悪いところの方が先に目に付いてしまうものなので、、
まず、それを指摘したくなるのは、分かるのですが・・・

そこをぐっとこらえて、いいところを先に述べるようにする、
それが、コミュニケーションが円滑になるコツかもしれませんね。


  これは、プライベートでも同じかも・・・


さて、以前にこのブログで紹介した、
「シャチのシャムー、ひとづきあいを教える」という本は、
まさにこのことを言っています。

この本は、行動分析学の話だったんですね。

ちなみに、この本では悪いところを言わずに、
いいところを強化していくことで、
行動が変えられると述べられています。


それが理想なのかもしれませんが、難しい場合は、
順番だけでも変えてみてはいかがでしょうか。


どうしても、怒りたくなってしまったときは・・・

  不機嫌に始まり、最後にフォローする ではなく、

  笑顔から始まり、後で指摘する にするのです。


さて、今回は時間管理とは直接は関係ない話でしたが、
シンプルで使いやすい気付きだと思ったので、
紹介したくなり、書いてみました。

いかがだったでしょうか。


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今日、犬のしつけの話が出ましたが・・・、

先日、私の実家にいる犬の病気が分かり、手術をしたと聞きました。
また元気になってほしいなあ、と思う今日この頃です・・・


  
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Posted by 水口和彦 at 23:25Comments(6)TrackBack(0)
2006年03月30日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

ホウレンソウには気をつけろ! Part 1

こんばんは、水口です。


今日はホウレンソウの話です。
もちろん、野菜の話ではありません・・・。


ホウレンソウ=報告・連絡・相談のことです。

・ホウレンソウするときには5W1Hが重要と言われています。
 (5W2Hというのもありますね:How much を追加)

   私は、5W1Hのすべてを毎回連絡する必要はないと
   思います。状況によって省略するべきですよね。
   しかし、頭の中には入っていないといけませんね。


また、ホウレンソウの3つはどう違うのでしょうか?

 ・報告は、 結果と次にどうするかが重要

 ・連絡は、 途中経過や事実 を伝えること

 ・相談は、 「こうしたい」という意志を伝えること

私はそう考えています。




・・・って、今日はこういうことを言いたかったのではありません。

今日の話は、どうしたらホウレンソウしてもらえるか?という話です。


  以前に、ある会社で「部下が報告や相談をしてくれない」といって、
  なげいている方がいました。

  部下にホウレンソウの重要さを説いても、
  一向に事態が変わらないのです。


  これって、何がいけないんでしょうかね?


最近、私は「行動分析学」という分野の本をいくつか読んでいます。

時間管理と関係していそうなので、読んでいるのですが、
その中で、気がついたことがあるのです。


行動分析学というのは、なぜその行動を取ってしまうのか?
(その行動が「強化」されると言います)
ということを分析する学問です。


人が何かの行動をするとき、それは自分の意志でやっていると
思いがちですが、すべての行動が意志通りかというと・・・、
そうでもないような気がしませんか?

ついつい無意識にやってしまう行動ってありますよね。

それは、過去の経験によって「強化」された行動かもしれません。



 「やりたくない」はずなのに、やってしまうこと

 「やりたい」はずなのに、できないこと


そこには、自分の本来の意志と別のところで、
「強化」と「弱化」の原理が働いているのかもしれません。


そういう自分の行動に対して、

 「自分は意志が弱いから・・・」

と、意志のせいにしてしまっては、なかなか事態は解決しません。
違った方向から、自分の行動を変えるべきかもしれないのです。


さて、その行動分析学とホウレンソウは、どう関係があるのでしょうか?



それは・・・




長くなってしまうので、明日続きを書きますね。


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書店でのセミナーの話、確定致しました。
トップページに書きましたので、見てみてください。


  
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Posted by 水口和彦 at 18:52Comments(0)TrackBack(0)

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