大人のタイムマネジメント とは? (その4)
こんにちは。水口です。
昨日は「タイムマネジメントの二面性」 の話をしました。
今日は、その片面について考えてみます。
■ 「監督者」 の視点
今日は、タイムマネジメントの手法についての2つの立場、
その片方を紹介します。
この2つの立場は、自分の中の「計画者」と「実行者」という見方も
できますが、ここではもう少し第三者的な「監督者の視点」として
考えることにします。
この「監督者の視点」 からタイムマネジメントに求めるもの、
言い換えると、「上司が部下に望む行動特性」 を、
私は5つの要素として考えています。
※ 「上司が部下に望む行動特性」 は、たくさんあるでしょうが、
タイムマネジメントに関連する要素のみをピックアップしています。
その1つが、「目的意識」 です。
■ 目的意識とは?
「目的意識」 とは、大辞林 第二版 (三省堂) によると、
もくてき-いしき 【目的意識】
自己の行為の目的についての明確な自覚。
だそうです・・・。当たり前というか、意外に分かりにくいというか・・・。
具体例で考えないと、分かりにくいかもしれませんね。
「仕事」をするという状況において、目的意識のあり無しは、
行動の差となって表れます。
特に「言われたとおりにやってみたら、うまくいかなかった」 という
場合に、明確に差が出ます。
■ 「目的意識」 を具体例で考える
例えば、こんな状況があったとします。
上司が、
「この予算でパソコンを5台更新したいから、見積もり取って。」
という指示を出したとします。
そのパソコンに対して必要なスペックも分かっています。
部下は業者に見積もりを取ります。
ここで、予算内で収まるようなら、あまり問題は無いわけですが、
予算に収まらない場合、あなたならどうするでしょうか・・・?
見積書を取って、「この予算では無理です」 と上司に報告するのは、
目的意識を持っているとは言えません。
この仕事の本来の目的は「見積もりを取る」 ことではなく、
「パソコンを購入すること」 ですから、
予算に収まらないのなら、
「値引き交渉の余地はないか」
「どのスペックを落とせば予算に収まるのか」
「もっと安く納入できる業者はないか」
ということを確認し、「どうやって購入するか」 を
判断する材料を揃えておいた方がいいわけです。
(他にもいろいろ手はありますよね。)
そういったことを何もしないで、上司に「ダメでした」 と持ち帰るのは、
目的意識が不足しています。
・・・と、ここまで読んだ方には、二つの反応があると思います。
「そんなの当たり前でしょ」 と思う方も多いでしょう。
しかし、実際、「こんな人がいて苦労してるよ」 という声も聞きます。
■ タイムマネジメントと目的意識
さて、この目的意識は、タイムマネジメントと深く関係しています。
タイムマネジメントは、
「やること」 を「いつやるか」 決めて、実行すること
です。その「やること」 の中身が問題なわけです。
先ほどの例で言うと、
自分のやること = 「見積もりを取ること」 と考えていると、
いくら計画通りに「やること」 を実行しても、結果につながりません。
自分のやること = 「パソコンの購入方法を決めること」 と考えていれば、
結果につなげるべく、動くことができるわけです。
そのためには、当初予定していなかった作業が
発生することも当然出てきます。
つまり・・・見かけの「行動」 だけを計画通り進めていれば、
タイムマネジメントが出来ているように見えるかもしれませんが、
それは仕事の本質とは違うということです。
そういう意味で、大人のタイムマネジメントは、
子供のタイムマネジメントとは違うわけです。
■ 大人が「時間割」 では動けない理由
例えば、時間割通りに勉強していていれば、
子供のタイムマネジメントとしては、OKかもしれません。
しかし、それで学力が付いていなければ、
大人のタイムマネジメントとしては明らかにNGなのです。
仕事のタイムマネジメントが「タスク志向(別の言い方ではゴール志向)」
であることが多いのは、こういう理由があるわけです。
「時間(アポイント)」 と「タスク」 の管理をどう両立するかが、
ポイントであり、みんなが工夫しているところなんですね。
この「目的意識」 は、多くの場合、仕事の場数をこなすことで
身についていくものですが、普段から意識しているかいないかが、
ポイントになるんでしょうね。
では、お急ぎの方は素通りを ・・・(笑)
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今日の記事作成時間は41分でした。
では、また明日!
大人のタイムマネジメント とは? (その3)
こんにちは。水口です。
昨日に続きまして、「大人のタイムマネジメント(時間管理)」 の話です。
■ タイムマネジメントにおける二面性
さて、前回私はこんなことを書きました。
私たちは、タイムマネジメントの手法について考えるときには、
2つの立場から見なければいけません。
「計画者」 と 「実行者」、 この2つの立場では、
タイムマネジメントに求めるものも違ってきます。
これについて、もう少し解説しておきます。
これから説明することは、「なぜ時間管理に挫折してしまう人が多いのか?」
という疑問に対する答の1つだと思って聞いてください。
タイムマネジメント(時間管理)とは、簡単に言うと、
「やること」 を決めて、実行する
ことです。どんなタイムマネジメントでも、これは同じです。
そして・・・、
「やること」 を決めるのが 「計画者」 の自分であり、
「やること」 を実行するのが 「実行者」 の自分です。
うーん。当たり前ですねえ・・・(笑)
当たり前なんですけど、大事なことです。
■ 「計画者」 と 「実行者」 の間にある問題
タイムマネジメントを行う場合、通常は、
「計画を立てて」 → 「実行する」 というステップで行います。
※ 「通常は」 と注釈を付けているのは、
私は違う考え方をしているからです。
タイムマネジメントに挫折してしまう理由は、いくつもあると思いますが、
その中でも割とよくありがちなのが・・・、
「計画したことが実行できない」 「計画通りにいかない」 ために、
だんだん嫌になってくる。というパターンです。
計画を立てているときは、「あれもやっとかなきゃ、これもやりたい・・・」
と、つい張り切ってしまうものです。
※ 人の性格による違いはあると思います。
(控えめな計画を立てたいという心理もありますから。)
ただ、計画を欲張り過ぎてしまう人の方が、
明らかに多いと思います。
張り切って、色んなことをやる計画が出来ると、結構うれしいものです。
(「GTD」 で「やること」 を書き出すときも、これと似た高揚感がありますね。)
しかし・・・、
それを実際にやってみると、とてもこなせなかったりします。
計画をこなせないという、この 「小さな挫折感」 をくり返し感じていると、
タイムマネジメント自体が嫌になってしまうわけです。
「こんなことなら計画なんて立てない方がいい」 という悪魔のささやきが
聞こえてくる感じでしょうか?
それで結局、タイムマネジメントをやめてしまうこともあるわけです。
(もちろん、挫折の原因はこれだけではありませんが。)
■ 上司と部下の関係に似ている ?
さて、先ほどの、「計画者」 と「実行者」 の関係って、
「ワガママな上司」 と 「反論できない部下」
の構図に似ていると思いませんか?
上司は、「あれをやれ」「これをやれ」 と、張り切っていますし、
前向きに部署の仕事のことを考えている「つもり」です。
しかし、部下の反応は、「そんなのとてもできない」 とすぐに投げ出すか、
「精一杯やってもできない」 と自分を責めるか、という感じです。
(実際の職場でも、こういう上司部下って、割と話に聞きますよね。)
さて、リアルな上司部下の関係で、こういう上司がエスカレートすると部下は・・・
・ストレスでダウンする
・辞表を出しちゃう
・「だったらお前がやってみろ!」 とキレる
・書置きをして旅に出る (・・・・これは無いか)
という行動を取る(または取りたくなる)わけです。
タイムマネジメントでも、これと同じように、
自分の中の「上司」 と「部下」 がうまくいかないこともあるのです。
この話、計画を立てるときに欲張るクセがない人は、全然ピンと
こないと思います。 でも、計画を欲張ってしまう人にとっては、
かなり切実な話なんです (私も以前そうでした)。
■ 2つの視点で考えてみよう
「上司部下」 の話になると、つい話が長くなってしまうのですが、 (笑)
話を戻しまして・・・、
「タイムマネジメントに対して、自分が求めるもの」 も、
同じように2つの視点で見ているはずです。
「目標を達成したい」 「計画的に行動したい」 という視点と、
「でも面倒くさいのはいやだなあ」 という視点です。
過去に何度も挫折した経験があると、この2つの視点のバランスを
取るのが上手になっていると思います。
ただ、そういう方も今一度、この2つの視点で考えてみてはいかがでしょうか。
ということで、またまた次回に続きます・・・。
「上司部下関係の中の葛藤」 というテーマは、
どうしても入り込んでしまいそうになりますね (笑)
「ちょっと共感しちゃったかも」という方は、
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今日の記事作成時間は48分でした。
自分の中の「上司」 と「部下」 というのは、前にときどき引用していた、
「Mモード」「Dモード」 の「モード」 という考え方と似ていますね。
「何それ?」 という方は、こちらを→【 7つの嘘その6 】
では、また明日!
大人のタイムマネジメント とは? (その2)
こんにちは。水口です。
一昨日、「大人のタイムマネジメント(時間管理)」 という話をしましたが、
今日はその続きです。
■ 大人は「子供のタイムマネジメント」 では勝負しない ?
さて、前回書いたように、
「約束した時間に間に合うように行動する (= 遅刻しないように) 」
「仕事の期限を守る (= 宿題はちゃんとやってきなさい) 」
というのは、「子供のタイムマネジメント」 です。
こういう「子供のタイムマネジメント」 勝負では、
小学生に負けてしまう大人もたくさんいると思います。
小学生は会議(授業)の開始時間に遅れてきたりしませんよね。
しかし、大人の場合は確信犯的に遅れてきたりすることもあります・・・。
また、小学生はダブルブッキングもしませんし、ドタキャンもしません。
なんてことを言うと、
「学校と仕事は違うから、当たり前じゃないか!」
という方もいると思います。
・・・そう、その通りです。
■ 大人には、いろいろな事情がある ?
大人が仕事をしている環境では、色んなことがあります。
有無を言わせない突発的な問題が起こる場合もありますし、
納期を変えてもらう交渉をしなければいけないこともあるかもしれません。
計画にそって行動するだけではなく、臨機応変な対応が必要です。
役に立たない社内会議に (わざと)遅れて行くのは、
周りにとっては迷惑かもしれません。
しかし、作戦としてあえてやっている人もいるかもしれません。
(決して良いこととは言えませんが・・・意図的にやっているわけです。)
大人には、「いろいろ」 あります。
その場で判断したり、柔軟に対応しなければいけなかったり、
策をめぐらせたりすることもあるわけです。
(もちろん、その中には事前に防げるものもあるでしょうが、
防げないものも、必ずあると思います。)
だから、大人のタイムマネジメントでは、その場その場で「判断する」
ことも必要になるのです。
ここが、子供のタイムマネジメントとの大きな違いですね。
■ タイムマネジメント(時間管理)を考えるための前提
では、「大人のタイムマネジメント」 にふさわしいのは、どんなやり方でしょうか ?
それについて考えてみようというのが、今回の記事の主旨なんです。
実は、それについて考える前に、ひとつ前提が必要です。
私たちは、タイムマネジメントの手法について考えるときには、
2つの立場から見なければいけません。
例えば・・・、
ものすごく厳しくて、面倒なタイムマネジメント手法があったとします。
その代わり、精度良く長期計画が達成できる方法だとします。
その手法に対して、
「手間がかかるし、そこまでやる意味はない」
と思うかもしれません。そう思うのは、実行する「実行者」 としての自分です。
その一方で・・・、
「手間はかかっても仕方ない、とにかくこの目標を達成したいから、
この手法でやってみよう ・・・ 」
と思う自分もいるかもしれません。これが、計画を達成したいと思う、
「計画者(監督)」 としての自分です。
■ 2つの立場(視点) で見るべき
「計画者」 と「実行者」、この2つの立場では、
タイムマネジメントに求めるものも違ってきます。
ラクチンだけどずさんなやり方は、「実行者」はよくても、「計画者」的にはNGです。
せっかくやってみても、効果が少ないわけです。
確実だけど、とても面倒なやり方は、その逆です。
効果はあっても、いつか挫折します。
どちらの立場で見ても、「良いタイムマネジメント」 が理想というわけです。
というわけで、明日はこれについて考えてみます。
さて、さりげない1クリックが、大人の余裕・・・でしょうか (笑)
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今日の記事作成時間は45分でした(意外に長いか?)。
しかし、「時間管理」ではなく、「タイムマネジメント」 で書くのは、
まだ、若干の違和感がありますね・・・(笑)
では、明日は続きです。
大人のタイムマネジメント とは?
こんにちは。水口です。
昨日、「大人の学習」 という話をしましたが、
今日はそれに続いて、「大人のタイムマネジメント」 の話です。
(makotoさん、当たりです。)
今日のタイトルは、昨日最後に書いた謎掛けのように、
「大人の○○○○○○○○○」 としようかと思ったのですが・・・、
スパムメール(迷惑メール)みたいなのでやめました (笑)
(しかし・・・迷惑メールにメールソフトの学習機能が追いつかないです。最近。)
※ ちなみに、なぜ今回「時間管理」 ではないのかは、深い意味は無く・・・、
「大人の」 と合わせた時に、こちらの方がゴロが良かったからです。
■ まずは、 「子供のタイムマネジメント」 について
さて、「大人の・・・・・」 とは何かという話の前に、
タイムマネジメントって、どういうことか考えてみます。
例えば、
「約束した時間(面談や会議など)に間に合うように行動する」
「仕事の期限を守る」
といったことも、タイムマネジメントの中に含まれます。
しかし、これは、
「遅刻しないように」
「宿題はちゃんとやってきなさい」
という言いつけを守るのと同じです。
・・・これは、子供でも守ることです(ときには守れませんが・・・)。
「子供のタイムマネジメント」 ですね。
■ 「大人のタイムマネジメント」 とは?
では、「大人のタイムマネジメント」 はどうあるべきなのでしょうか。
ここで、昨日紹介した「P−MARGE」 という考え方を元にして、
考えてみましょう。
P−MARGEは、大人の学習の特徴を現した言葉で、
P : Practical (実利的)
M : Motivation (動機)
A : Autonomous (自律的)
R : Relevancy (関連性)
G : Goal−oriented (目的志向性)
E : Experience (経験)
の頭文字を取ったものです。
となると、 大人のタイムマネジメントは・・・
・実利的である
手間がかかるやり方を嫌がる。効果がなければやめてしまう。
・動機を必要とする
現状に不満がなければ、なかなか自分からはやろうとしない。
・自律的である
必要と感じれば、自ら進んでやる。
・関連性(レリーヴァンス)を必要とする
自分の仕事(またはプライベート)に役に立たなければ、やめてしまう。
・目的志向性が高い
目的があって、やっている。
・豊富な人生経験がある
その仕事の経験は豊富にあるため、
仕事の段取りはある程度は頭の中だけでもできてしまう。
といった特徴があることになります。
これ、かなり当てはまっているような気がしますが、どう思いますか?
■ 「大人であること」 で損する場合もある
例えば、「動機を必要とする」 という項目に、「困ったなあ」 と思っている
上司の方もいるかもしれませんね。
部下にもやってほしいのに、本人は必要性を感じていない、という場合です。
この場合、部下に気付いてもらう、何らかのきっかけが必要になりますね。
また、「豊富な人生経験がある」 という項目もありますが、
仕事で経験を積むほど、その仕事での「段取り力」 は上がってきます。
ですから、「タイムマネジメントはいらない」 と思っている方もいるわけです。
こういう人は、自分が損をしていることに気付いていません。
(タイムマネジメントした方が楽だということに気付いてないわけです。)
このブログの読者の方にはいないでしょうけど(こんなタイトルですから・・・)、
周りには、こういうタイプの方が、何人かいるのではないでしょうか。
これらは、大人に何か新しいことを始めてもらうときの難しさですよね。
大人は、動機がはっきりしているものに対しては、進んでやろうとする反面、
そうでないものに対しては、これまでの行動をあまり変えたがりません。
(もちろん、別の分野では私にもそういう傾向はあります・・・)
そこに、「タイムマネジメントは面倒なもの」 というイメージが重なると、
自分からやってみようという人は、少なくなるわけです。
タイムマネジメントが、なかなか定着しないのも分かる気がします。
(・・・いや、これではいかんので、変えていきますが。)
■ 私も大人だった ? という話
かくいう私も、過去にタイムマネジメントを投げ出したことが何度かあります。
(今のタイムマネジメントとは違う方法です。)
ただ、投げ出したのは、私だけでは無いんです・・・。
初めてやった方法は、(当時の職場の)部署全員で取り組んだのに、
結局みんな続きませんでしたし・・・。
(自分で手法を作る前の)最後の方法は、1人でやって1人で投げ出したの
ですが・・・、後日、色んな人から「私もそれ、続かなくて・・・」 と聞きました。
これ実は、「みんな大人だった」 ということでは? と思う今日この頃です。
(今だから分かることですが、いずれも手順が面倒過ぎました・・・ )
■ 「大人の・・・ 」 には、まだ条件がある ?
さて、今回挙げた以外にも、「大人のタイムマネジメント」 として
備えているべき条件があると、私は考えています。
次回(月曜かな)、その話をしようと思います。
今回これを書く前に、「大人のタイムマネジメント」 という言葉が
他で使われていないか、ググってみたり(検索したり)してみました。
結局無かったのでいいのですが・・・「大人の」 だけで検索すると、
怪しいサイトがいっぱい出てくるので、真似しないように・・・(笑)
あ、さりげなく これをクリックしていくなんて、大人ですねー・・・(笑)
↓
今日の記事作成時間は65分でした。
では、明日はひとまず別の話題を!
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