「段取り」を活用するための3つの習慣・活用するためのツール
こんにちは。水口です。
今日は、「仕事の段取り」の話です。
■ 「段取りを活用する」 3つの習慣
「段取り」という言葉には、いくつか意味がありますが、最も一般的なのは、
「仕事の手順」という意味でしょう。
最近、「段取り」や「仕組み」に関する本が増えてきたりと、「段取り」について
関心が高まっているように感じます。
実際、「段取りを考える習慣」は、仕事の効率化に欠かせないものです。
私もいろいろな「仕事のできる人」を見てきましたが、いわゆる「できる人」は、
そのほとんどが「段取り上手」だったと感じます。
さらに、「段取りを書き出す習慣」は、仕事を確実に行うために、非常に
役に立つものです。これは私自身も実行してみて、大きな意義を感じました。
前の会社で担当したことのある「品質保証」の仕事は、取引先企業への
提出書類がとても多く、しかも正確さも求められる仕事でした。そんな仕事を
効率的に(しかもミスのないように)こなすためには、段取りを考えるだけでなく
「書き出す」ことが重要だと実感したものでした。
ただ、もう1つ、忘れてはいけない大事なことがあります。
それは、「段取りを見ながら仕事をする習慣」です。
これも、非常に役に立つことです。
「段取り」を見ながら仕事をすることで、「次に何をやるか」思い出す必要が
無くなり、迷いなく仕事を進められます。やり方をわかっている仕事であって
も、「見ながら仕事をする」ことの効果は大きいのです。
しかし、この「見ながら仕事をする」という段階には、「落とし穴」があります。
「段取り本」や、「仕組み本」でも、この落とし穴についてあまり言及される
ことがないのですが・・・、実践する上で非常に大事なことなんです。
■ せっかく作っても使われない「段取り」の例1 : 業務マニュアル
先の「段取りを書き出した」ものの筆頭は、「業務マニュアル」です。現在は、
「業務マニュアル」を作成済みだという企業は多いと思います。
(ISO9001の導入とともに「マニュアル」を作った企業が多いと思います)
ところが・・・、その「マニュアル」も、日常的には使われていないということが
多いのではないでしょうか。人は、ある程度仕事を覚えてくると「マニュアル」
に頼らずに仕事をしようとするものです(私もその傾向があります)。
だから、「マニュアル」は最初のうちしか見ない。という状況はよくあります。
しかし、それがミスの原因になる危険性もありますし、もっと困ることに、
「使われないマニュアルはアップデートされない」という問題もあります。
ですから、本来ならば、「立派なマニュアル」よりも、「使い続けられる
マニュアル」であることを目指すべきなのですが・・・。
■ せっかく作っても使われない「段取り」−2 : チェックリスト
業務マニュアルよりも、もっと簡単で、しかも実践的な「段取り」が、
「チェックリスト」です。
マニュアルは、「その仕事を知らない人に教える」ことを想定して書かれて
いるのに対し、「チェックリスト」は、その仕事を覚えた人が、もれ抜けが
ないか確認するために使うものです。
これは実践的ですし、役に立ちます (特に定型的な業務に役立ちます)。
※ 私が過去に作成したチェックリストのなかで、最も役に立ったと感じた
ものは、(これも前職での話ですが)月に1回作成する、非常に複雑な
書類の作成手順を細かくリスト化したものでした。
そのリスト作成のポイントは、5〜10分、あるいはもっと短時間で終わる
作業にまで分解してリスト化したことでした。こうすることによって、短い
スキマ時間も活用して、少しずつ、確実に仕事を進めることができました。
この「チェックリスト」は、ハマるとものすごく役に立ちますし、それ無しには
仕事を進めたくなくなるくらい手放せないものになります。
しかし、そんな「チェックリスト」も、100パーセント万能ではない。というのが
私の実感です。
過去に自分が痛い目にあった仕事や、日頃面倒だと感じている仕事に
対しては、チェックリストを使おうという気になるのですが、特に問題のない
仕事の場合には、「チェックリストを出してチェックを入れる」ことすら、面倒
だと感じたり、そのうち使わなくなってしまったりすることもあるものです。
■ 「段取り」を使わなくなる理由
なぜ、そうなってしまうのか・・・ という答は単純です。
「段取り」のツールは、「仕事の手順を指し示してくれる」ツールである反面、
「仕事のやり方を管理する」ためのツールでもあります。
ですから「仕事の手順を指し示してくれる」というメリットが薄い場合には、
それは「管理ツール」としての役割が強くなってきます。
そして、人は「管理」だけのためのツールは、基本的に嫌いなものです。※
ですから、「管理ツール」としての面もあわせ持つ「段取りツール」を
使わなくなる(使いたくない・無くても支障ないと思うようになる)のも、
無理もない話なのです。
※ なかには自分の「管理」が好きな人もいますが、人数比としては
1割にも満たないくらいだと経験上感じています。
真面目な人(堅い人)も多い、某上場企業でもそのくらいなんです。
※ 「時間管理」も基本は同じです。「やれたかどうかの管理」をすることが
主目的である「ToDoリスト」は、(仕事が順調でないときなどは特に)
見るのも嫌になってしまうものです。
「時間管理ツール」は、管理のためのツールであると同時に、
「プランニングしやすくしてくれる」「記憶を補助してくれる」といった
面でもメリットを実感させてくれなければ、継続できないものです。
■ 「段取りツール」の改善
先に述べた、
「段取りを考える習慣」
「段取りを書き出す習慣」
「段取りを見ながら仕事をする習慣」
の3つは、どれも仕事を効率化する上で役に立つものです。
しかし、上に述べたような理由で、3つめの「見ながら仕事をする習慣」は、
なかなか定着しにくいものです。
私自身、「チェックリスト」の効果を知っているくせに、中には使わなくなる
チェックリストが出てくることがあるくらいです。
こういった状況を打破するためには・・・
単なる「マニュアル」や「チェックリスト」の枠を超えて、
「もっと使いたくなるツール」、「もっとメリットの多いツール」で
あることが、「段取りツール」に求められているのです。
■ 改善のカギは「PRIMO」
「段取りツール」をもっと便利に、もっとメリットのあるものにしたい
という試行錯誤を重ねてきて気づいたことがあります。
(この話は、明後日行うセミナーの話の一部ですが、先行して公開します)
そのカギは「PRIMO」です。
□ Plan (計画) : 具体的な手順・やるべき項目リスト
(予想所要時間を入れると時間管理にも効果的)
□ Results (結果) : どこまで実行したか
(やれたかどうかの状況の「見える化」)
(所要時間と関連させれば「進捗率」にもなる)
□ Infomation (情報) : その仕事のやり方の詳細・参考情報
(「業務マニュアル」の内容に近い)
□ Material (材料) : その仕事に使うファイル・フォルダなどの情報
(あるいは使用するサイトへのリンクなど)
□ Objectives (目標) : その仕事の納期・納入形態・納入方法
などの参考情報
(メールでもらったりすることが多い)
この「PRIMO」の各要素を一緒にまとめると、「段取りツール」は、
「仕事の道具」として使いやすい、メリットの大きいものになります。
そうすると・・・、段取りツールを積極的に使うようになる。というわけです。
※ ちなみに、これらの要素は思いつきで決めたものではありません。
5年以上かけた試行錯誤が下地になっています。
これは、次の考え方に基づいています。
・「段取りツール」を、「管理のためのツール」として運用するのではなく、
「便利な仕事の道具」として使えるようにする。
・そうすると(使うのが習慣になると)、「管理」的なことをついでにやるのも
苦ではなくなる
この考え方、とても実効性がありますよ。
※ そして、残念ながら、「業務管理」のためとして販売されているシステムには
こういう観点はあまり盛り込まれておらず、もっぱら「管理」のためのシステム
になっているように思えます。
最近、某社の「時間管理用」と銘打ったシステムの説明を読んでいて、
頭がクラクラしそうになりました。仕事の進捗管理、工数管理ばかりの
システムです。こういうのは管理者には便利ですが、管理のためだけに
インプットを強要される人たちには気の毒すぎます・・・。
■ 「PRIMO」を集めろ
では、「理想の段取りツール」があるとすれば、どんなものか?
という質問の答は難しいですが、単なる「管理ツール」に成り下がるのでは
なく、上記の「PRIMO」と組み合わせるべきだというのは間違いありません。
私が現在構築している「PRIMO」のツールは、説明すると長くなるのと、
金曜日のセミナーのネタばらしになってしまうので、ここでは紹介できないの
ですが・・・(すみません)。
PRIMOの各要素を(頭のなかも含めて)バラバラの場所に置いていると
いう状況を改善する工夫は、小さなところも含めていろいろあるはずです。
※ 例をあげれば、ある仕事(商品、書類、プログラム等々)の最終の納期や、
納品方法、納品する形態などについて確認するために、以前にもらった
メールを探す・・・ といった行動は、多くのビジネスパーソンが割と日常的に
行っていることだと思います。
しかし、そんなことをするよりも、あとで必要になる情報は、「コピー貼り付け」
で一ヶ所にまとめておいたほうが、ずっと仕事は効率的になります。
貼り付ける場所さえ用意してあれば、「コピーペースト」するのはほんの数秒。
あとでメールを探して、必要な情報を見つけるのは、どんなに検索ツールが
便利になっても、まあまあ良くて数十秒、悪ければ数分あるいはそれ以上の
時間と手間がかかります。
というわけで、
PRIMO視点で仕事のやり方・段取りツールを改善できるところがあれば、
ちょっとした手間を惜しまず、改善してみてはいかがでしょうか。
この「PRIMO」も紹介するセミナーは、日程も迫ってきましたが(金曜日)、
まだ受付できますので、ご興味のある方はどうぞ。↓
(弊社HP内・セミナー紹介へのリンクです)
時間管理講座上級編−2(E講座)のご案内
Excelを利用したタイプですが、「段取りツール」もお持ち帰り・・・
いや、ダウンロードできます。
今日の記事作成時間は105分でした。
では、また明日!
「段取り」と「頭」と「ツール」の関係
こんにちは。水口です。
昨日、「段取り」の話をしたので、今日も続いて「段取り」の話を。
昨日の話はこちら↓
「複雑な段取り」をラクラクこなすために
(私が最近使っている段取りツールの話です)
■ 「仕事の段取り」をうまくやるには?
「仕事の段取り」をうまくやるにはどうしたらいいか?
という質問は、実は究極の質問・・・かもしれません。
というのは、「仕事の段取り」は仕事の数だけあるわけで、画一的な「段取り」と
いうものは、実は存在しないからです。
そんな「段取り」を、うまくやり遂げるのは、人の「頭」の力です。
たとえば、 「こういうものを作りたい」という、「求める結果」があったとして、
その結果を得るためには何が必要か? さらにその前には何が必要か? と
いうことを考えることは、間違いなく人の「頭のなか」で行われています。
どんなツールでも、求める結果をインプットするだけで「自動的に段取りが組み
立てられる」ということはできません。
※ もちろん、いろいろな「段取り」を学習させることで、人工知能的な
「自動段取りシステム」というものをつくることは不可能ではない
でしょうし、「業務のシステム化」も一種の「自動段取り」です。
しかしこれらは、もともと人が行っていた「段取り」を元にしているわけで、
「システム」が段取りを考えたわけではありません。
そんなふうに「段取り」は、人の頭のなかで行われるものです。そこは間違い
ありません・・・ しかし、どんなツールを使うかによって「段取り」の仕方が
変わるのが人の頭の面白いところです。
たとえば、「紙に書く」か、「頭のなかだけで考える」かで、段取りのやりやすさ
や、正確さ、もれ抜けのなさは、大きく変わってきます。
これは、人の頭が「短期記憶」という点においては、とても貧弱な構成をしている
ことと関係があるわけです。
人の頭は、「こんなときにはどうしたらいいか?」といった判断力や発想力は、
とても高度なものを持っています(「直感」のレベルの判断も含めて)。しかし、
その一方で、「まずあれをやって、次にこれ、その次は・・・」と考える項目の数が
増えてくると、頭のなかは、たちまちゴチャゴチャになってしまいます。
たとえば、数学でいえば、証明問題を「ひらめき」だけで解けることもある反面、
単純な足し算ですら、(桁が多いと)頭のなかだけではできません。これと少し
似ています。
■ 「書く」ことは重要、そして、「ツール」もやっぱり重要
そんなわけで、「仕事の段取り」を行うためには、「書く」ことがとても重要になって
くるわけです。それに、書いて考えたほうが楽ですし(考えるのも思い出すのも)、
時間の節約にもなります。
ただし、「書く」といっても、いろいろな書き方がありますし、昨日紹介したように
パソコンを使う方法もあります。
いずれにしても、「高度なツールを使えば、(考えなくても)高度な段取りができる」と
いうことは、絶対にありません。考えるのは基本的に「頭」ですから。
むしろ、『自分が「考える」ために使いやすいツールを使う』 という観点が重要です。
※ この点は、「時間管理」でも、まったく同じです。
私は「理想の時間管理ツール」は、「思考の型」を押しつけるものではなく、
「考える」ために使いやすいことが重要だと考えています。
(次に、手間をかけない・習慣化しやすい仕組みになっていることが重要です)
ですから、「ツール」を過信してもいけませんが、「ツール」を軽視してもいけない。
というのが、「段取り上手」になるためには大事なことだと私は思います。
■ 仕事の種類と段取り
また、「段取り」は、仕事の内容によっても、大きく変わってきます。
・ 長期的な仕事が多い / 短期的な仕事が多い
・ 並行して走るプロジェクトが 多い/少ない
・・・等々で変わってきます (他にもあります)。
ですから、理想の「段取り上手」の姿は、
自分(と「自分の仕事」)にあったツールを選べる(または作れる)
という人ではないでしょうか。そして、
仕事の内容が変われば、それに応じて自分のツールを変えられる
ということも重要です。
来週の講座は、できるだけそこまでお伝えできるような講座にしようと
考えています。
・・・「段取り」って、実は奥が深いです。
たとえば、あんまり考えていなさそうなのに段取り上手な人がいると思えば、
「とにかく段取りが苦手」、という人もいますし。段取りするのがうまいのに
「段取りを教える」のは下手な人もいますし・・・。
最近増えつつある「段取り本」でも、「段取り」を誰でもわかりやすいように
伝えてきれているものは見当たらないように思います。「段取りを教える」と
いうのも、なかなか難しいテーマだと思いますね(私もがんばります)。
お、「段取り」を追求するための 「段取り講座」 もよろしくお願い致します。
今日の記事作成時間は55分でした。
では、また明日!
「複雑な段取り」をラクラクこなすために
こんにちは。水口です。
明後日の日曜日は「時間管理基礎講座」を行います。
(残席少なくなりました・・・あと3席です。かけこみ申込みまだOKです)
とはいっても、今日はその話ではなく、
「段取りツール」 「段取り講座」の話です。
■ 「複雑な段取り」に対応するための新しいツール
「仕事の段取りがうまくいかない」
「なかなか段取りが読めない(変更が多い)状況で大変」
と、感じている人はいないでしょうか。
実は、私がいまそんな感じです・・・。いや、「うまくいかない」とまでは
言いませんが、複数の仕事が交錯してややこしくなっています。
というのは、最近、講演や研修の引き合いを頂くことが多くてありがたいの
ですが、こういう対応は、なかなか大変なところもあるんです。
講演や研修を依頼する側にとって、どんな内容で行われるのか、というのは、
やはり不安なものです(だと思います)。ですから、事前に資料を提出して
ほしいというご要望を頂くことが多いです。
また、その会社の現状の問題点や、対象者によって、内容のご要望もいろいろ
あります。
たとえば、「新入社員向け」にしゃべってくださいといわれるときと、
「全国支店長会議」や「全国○○部長会議」でしゃべってくださいと
いわれるときでは、内容はまるっきり別物になります。
そんなふうに、提出する資料を準備したり、講演内容や研修のカリキュラムを
組み替えたりする仕事が発生してきます。
もちろん、こういった作業も、効率化するようにいろいろ工夫はしていますが、
それでも、それなりに時間はかかってしまいます。
また、研修や講演は、最初にお話を受けてから、内容を詰め、実行するまでの
期間がまちまちだったりします(2〜3週間の場合も、半年以上の場合もあります)。
ですから。こちらも、「A社さん向けは、どこまで進んでたっけ?」と混乱しそうに
なることもあったりします。
こんな状況を改善するためには、「手早い段取り」と、「2つの視点」が必要です。
今日はその話です。
■ 「手早い段取り」と、「2つの視点」の両立
こういう状況を上手く整理するためには、まず第一に、
「段取り」を手早く行うこと
が重要です。
仕事の手順、進め方を考えておくこと。それも、単に「頭の中」で考えるのではなく、
具体的なタスクに分解して、「見える化」しておくことが重要です。
このときに、「過去に行った似ている仕事」 の段取りを、「再利用」するように
すると、少しくらい複雑な段取りでも、サクサク計画することができます。
(進捗管理も楽になります)
ここまでの話は、「段取り」関係の本にもよく出てきます。
しかし、もう1つ、非常に重要なことがあります。それは、
「2つの視点」
を持つことです。
「段取り」とは、仕事の手順を組み立てることです。しかし、「手順を組み立てた」
ことで満足していては、うまく実行できないものです。
必要なのは、「段取り」のなかの、個々の「タスク」を、スケジュールのなかに、どう
やって落とし込んでいくかという部分です。
「2つの視点」というのは、短期的な時間管理にも共通するものなのですが、
・ 「仕事の流れ(段取り)」をつかむ視点
・ 「個々の日付に何をやればいいか」という視点
の2つです。
「個々の日付に何をやればいいか」ということを、早い段階で具体的に展開して
おかないと、どんな完璧な段取りも、実行できなくなることがあります。
私たちは、複数の仕事の段取りを、並行して進めていくことが多いものです。
しかし、自分自身の体は1つしかありません。ですから、単独で見れば余裕でやれ
そうな段取りも、重なってくると仕事量がオーバーして、パンクしてしまいます。
そうならないためには、早めに日程ベースに落とし込まなければいけません。
※ たとえば、プロジェクトマネジメントでも、「WBS」や「ネットワーク図」などの
「段取り」があり、それを日程ベースに落とし込んだ「ガントチャート」があります。
それと同じことです。
ただし、普通の「ガントチャート」は、タスクレベルまでの落とし込みや、
複数のプロジェクトのタスクを合わせて整理することができません。
「自分の日程管理」のためには、粗っぽすぎるツールなんです。
■ 複雑化した「段取り」に対応するツール
こういった「段取り」は、長期スケジュール(週ごとに区切った管理が便利)と、
短期スケジュール(1週間のなかでタスクのレベルまで見る)を駆使して行うのが
私のスタイルなのですが、段取りが複雑化してくると、この両方の間を埋める
ために、もう1つツールがほしくなってきます。
しかし、むやみにツールを増やすことは、管理の手間を増やすというデメリットも
生みますから、慎重に考えるべきです。特に、中途半端な、いまひとつ使いにくい
ツールを足してしまうと、良くない結果を招いてしまいます。
シンプルで、必要な要素をカバーするツールが理想です。
そんなものは、なかなかあるわけではないので、パソコンを使って、
「徹底的に使いやすいツール(自分用)」を作ってみました。
※ 「タスク管理」的なWebサービスや、「プロジェクトマネジメント」用のツールは、
今回の目的には合致しないので・・・自分で作りました。
(自分で使いながら改善していかないと、いいものにならない気がしたので)
「作る」といっても、Excelを使って作成したものです。普段は、関数だけで「自動
更新するカレンダー」くらいなら作ってしまうのですが、今回はさすがにそれでは
重すぎました・・・ですから、VBAも組んでいます。
(プログラマーではない私ですが、VBAは昔使っていたBASICに似ているので、
なんとかなりました。Web上に参考資料が多くて感謝!です)
さて、先ほどの「2つの視点」ですが、1つはこれです。
(クリックで少し拡大したものが開きます)
仕事を「タスク」に分解したリストと、「各タスクの所要時間」の表です。
ポイントは、
・ リストの部分が非常に単純なこと(2列の表です)
・ リストはコピー貼り付けが可能なこと
前にやった「似た仕事」の段取りを、コピペして手直しすれば使えるので、
段取りを考えるのが、非常に楽になります。
これが基本で、あとは「実績時間」を記録できるようにしてあります。
実績は「開始時刻」「終了時刻」をそれぞれインプットする方式と、
(Excelの場合、「Ctrl」キーと「:」で、現在時刻がインプットできますから、
これを使うと非常に便利です)
もう1つ、その記録ができなかった場合に、後から「所要時間」として
インプットする方式のどちらでも使えるようにしてあります。
また、それ以外に、
・ 「未了」「完了」のチェックボックス
・ 「進捗率(%表示と縦棒グラフ)」
・ 「見込みと実際の時間の差(縦棒グラフ)」
などが、自動で表示されるようにしてあります。
しかし、インプットするのは・・・、
計画段階は、「タスク名」と「見込みの所要時間」
実行段階は、「実績時間」 だけです。あとは何もいりません。
(いや、あと「プロジェクト名」は、いりました・・・)
さて、ここまでをやるためのツールなら、他にもあるのですが、「もう1つの視点」
も使えるようにしたのが、今回のミソです。
それがこちら↓
横方向に日付、縦方向に各プロジェクト(アクティビティと呼んでいます)があり、
プロジェクトの番号と、タスクの番号を数字でインプットすれば、内容が表示される
ようになっています。
(薄黄色の部分にインプットすると、文字が自動で表示されます)
「どのタスクをいつやればいいか」ということを考えるために、これが便利なんです。
数字をペチペチ打ち変えながら、最適な段取りを考えるというわけです。
(突発的な依頼などたあった場合の対応も助かります)
また、各日付の「総タスク量(総所要時間)」が計算されるようになっているので、
それぞれの日に、「入れても大丈夫か」ということがわかりやすくなっています。
※ そのために、各プロジェクト以外に、時間を取られるアポイントメントなどが
ある場合、その時間をインプットしておくこともできます。
(これが上段のほうです)
細かいところは、やはり週間スケジュールを使ったほうがいいのですが、その週間
スケジュールに、どうタスクを当てはめればいいか、ということを試行錯誤するため
には、こういうツールが便利です。
ちなみに、上段の日付の左下が、赤くなったり、オレンジになったりしているのは、
それぞれの日のタスク量(所要時間)に応じて変わるようになっています。
(ヤバくなるほど、「緑→オレンジ→赤」と変わっていきます・・・(笑) )
※ 両方の画面にある青いボタン(のようなもの)は、それぞれのページを、
ワンクリックで行き来するためのリンクです(こういうの、あると便利です)。
使用感は、なかなかのものです。
「スケジュール管理ソフト」を使っているというイメージよりは、まさに「段取り」をして
いるという感じです。紙の上で段取りしていると、複雑になるとごちゃごちゃになって
きますが、それを思う存分考えながら組み立てていける、というイメージです。
また、継続中の「段取り」の進行状態が、1ヶ所にまとまっているので便利ですし、
このプロジェクトと、実際の書類やデータの整理方法をリンクさせておくと、
それもまた非常に便利です。
ただ、これはちょっと「特殊事情」のためのツールかもしれません。少なくとも、
「すべての人におすすめ」というわけではありません。
できるだけ簡単にはしてありますが、それでも多少は手間がかかりますから・・・
まずは普通の時間管理を(「KKJ」メソッドで)やるだけでも充分だと思います。
実際、私も以前の仕事だったら、このツールは使わないと思います。その仕事は
強烈に忙しいことも多かったのですが、「短期的」な対応(2〜3週間くらい)が
多い仕事だったので、ここまでやる必要がないというわけです。
おすすめなのは・・・今の私と同じく、「長短織り交ぜた段取り」が交錯している人。
また、プロジェクト別の「進捗率」や「所要時間(所用工数)」を算出しなければ
いけない人は、こういう管理をすると便利だと思います。
(「段取り」と「見込み所要時間」が最初にできていれば、あとは完了チェックを
していけば、進捗率が分かるというわけです。また、実績時間を入れていけば
進捗率の算出精度もだんだん上がっていきます)
自分の仕事の内容(段取りの長さや数)を見極めて、ツールを選択して
頂ければ、と思います。
ここで、少し告知をさせてください・・・。
こういった、「段取り上級編」の話は、来週(金曜日)の講座で、もっと詳しく
お届けします。「段取り」について、グッと突っ込んだ話をする機会はなかなか
ないので、こういう機会を作りました。
↓こちらです
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
時間管理講座上級編ー2 (E講座)
仕事の段取りの「仕組み化」とやる気を引き出す目標設定・実行法
http://www.bizark.co.jp/seminar/seminar20080516.php
_________________________________
日時: 5/16(金) 19:00〜20:45 (18:30開場)
場所: 東京都千代田区神田錦町3‐21
ちよだプラットフォームスクウェア 506会議室
こちらの講座も(日曜日の「基礎講座」と同様に)
↓こういう感じのテキストを使って行います。
↓こんな感じです(今回はプロジェクターも使いますが)
「段取り」をググッとレベルアップしたい方、
「段取り」で特に困っている、という方におすすめです。
ご参加頂いた方には、先の「Excel段取りツール」もお試し頂ければと思います。
(Window上で動作していて、Mac上で動くかどうかが不明ですが・・・すみません)
お申込みは、↓こちらのURLから (弊社HPです)
http://www.bizark.co.jp/seminar/seminar20080516.php
お申込みはお早めに!
今日の記事作成時間は105分でした。
(長かった・・・最後までお読み頂き、ありがとうございます)
では、また明日!
人はみな「ダンドラー(段取りする人)」 です (その6)
こんにちは。水口です。
昨日につづいて「段取り」 の話です。
■ 段取りを書く !
この一連の記事で書いてきたことをまとめると・・・、
人は元々、「やること」の手順を、頭の中で段取りしている。
段取りの失敗のほとんどは、それを書いておかないから起こる。
段取りを書くことは、自分の「段取り能力」を活かすことにつながる。
より、自然に無理なく時間管理ができる。
ということでした。
そのポイントが「書く」 ことです。
そして、1ヶ所に書くことがポイントです。
私の場合、こんなふうにしています。
・ 「このへんでやる」 という日付に矢印で線を引きます。
この図の黄色い矢印(流れ)の上に「○○報告書作成」 と
書いているのが、その日程です。
・ そして、必要な「やること」を書いていきます。
ここでは、あまりくわしくは紹介できませんが・・・、
一番のポイントは、1ヶ所にまとめることです。
この図でも、この「報告書」とは関係ない別のタスクと一緒に
書いています。
こんなふうに、一緒に書いてしまうと、分かりにくいのでは?
と思う方もおられるかもしれませんが、実際はそういうことは
ほとんどありません。
自分で段取りを考えながら書き込んだものであれば、
後で見てもちゃんと分かるんです。
手書きで書いたものは、パソコンで打ったものよりも記憶に
残りやすいと言われていますが、それと同じような効果が
あるのかもしれません。
ですから、私は特に色分けしたりはしていませんが、
混乱することはありません。
(もちろん、色分けするともっと分かりやすくなると思います)
■ 分けて書くことの危険性
逆に、こういった仕事の「段取り」 と、他の仕事を分けて
管理してしまうことには、危険がともないます。
他の仕事(アポイントやタスク)を入れるかどうか、どこに入れるか、
を考えるときに、全部の仕事が見えていないと、不用意に仕事を
増やしてしまうことになりかねません。
その結果、早くから計画していた大事な仕事がそっちのけに
なってしまっては、なんのためにスケジュール管理・時間管理を
しているのか、分からなくなってしまいます。
※ ここは大事なポイントです。
時間管理(タイムマネジメント)というと、
「仕事を詰め込んで、仕事を速くこなすこと」
というイメージを持っている方もいるかもしれません。
私はそのイメージは間違っていると思います。
確かに、結果として仕事が速くなることは多いのですが・・・、
詰め込むことが目的ではありません。
時間管理は、
・当初から計画していたことを確実にやるために
飛び込んでくる仕事を管理すること
でもあり、
・自分がやりたいことを、隙を見て割り込ませられるように、
普段から仕事を整理しておくこと
でもあるのです。
■ 1ヶ所にまとめる理由
このように1ヶ所にまとめる理由の中で、最も重要なことは・・・、
自分の時間リソース(資源:自分が使える時間) と、
手持ちの仕事を合わせて見ることです。
1ヶ所にまとめることで、
・実際は出来ない仕事を引き受ける
・やれないことをやれるように錯覚する
ということが無くなります。
これは・・・、仕事に自信が持てるということにつながります。
手帳ひとつの使い方だけで、自信や自分自身に対するイメージが
ずいぶん変わるものですよ (経験者は語る ?)。
今回は、このへんまでにしておきますが、
「段取り」については、もっとくわしくお伝えできる機会が
持てればいいなと思っています。
『段取り術講座』 でもやってみましょうか・・・?
というわけで、「段取り」シリーズは今日で最後です。
次は・・・何の話かは未定です。
後でノート(ネタ帳?) を見て考えておきます。
では、これも段取りよくクリックしてみては
いかがでしょうか ? (笑)
↓
(スキルアップ系ブログのランキングです)
今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!
人はみな「ダンドラー(段取りする人)」 です (その5)
こんにちは。水口です。
今日は、一昨日につづいて「段取り」 の話です。
■ 書くことで自分の「段取り能力」を活かす
この一連の記事で書いてきたことをまとめると・・・、
人は元々、「やること」の手順を、頭の中で段取りしている。
段取りの失敗のほとんどは、それを書いておかないから起こる。
ということでした。
「段取り」は元々、無意識に考えてしまうものです。
それを書いてスケジュールを立てるのは、人の頭の使い方や
記憶のメカニズムとマッチした方法だと思いませんか。
逆に、ひとつひとつの仕事に優先順位をつけて判断するというのは、
仕事をブツ切りで考えることになりますから、頭の中に浮かんでいる
段取りを台無しにしてしまうことになるのです。
※優先順位が必要なのは、仕事が重なり過ぎて切羽詰っているとき・・・
いわゆる「テンパっている」ときです。
テンパらないために時間管理をするはずなのに、優先順位をつけなさい
というのは、基本的におかしいと私は思います。
まあ、優先順位方式については、今までもさんざん言ってきましたので、
このくらいにしておいて・・・。
話を戻しまして・・・、
段取りを書くことは、自分の「段取り能力」を活かすことにつながります。
より、自然な時間管理ができるというわけです。
では、段取りの書き方を簡単に説明しておきます。
■ 段取りを手帳に書く
例えば、「○○報告書作成」 という仕事について考えてみます。
最終的な成果は、「報告書を提出すること」 ですね。
そして、報告書を完成させるためには、必要な行動があります。
・必要なデータを入手して
・(必要なら)報告書のひな型(フォーマット)を入手して
・データをまとめたり、グラフを作ったりして
・本文の内容を考えて、構成を決めて
・実際に本文を書いて
・その報告書(案)を上司に見せて、承認をもらって
・修正が必要な場合は修正して
・必要な部数を用意して
・提出して
・・・という感じですかね。
報告書の内容によって、中身は変わるかもしませんが。
(今回は、見やすいように手順の頭からたどっていきましたが、
確実にやるためには、後ろからたどっていった方がいいです )
このような行動(タスク)を、予定の中に組み込んでいくわけです。
例えば、4日間でその作業をやるとすれば、
こんな段取りになるかもしれません。
これは、この「報告書」の件だけではなく、他の仕事も一緒に書き込んだ
例になっています。
中段(Task)の中で、黄色で示した部分が、この「報告書」がらみの仕事です。
下段(Time)の中の黄色で示した部分が、実際にそれに使った時間です。
ポイントは、このように他の仕事と合わせて1ヶ所にまとめてしまうことです。
このポイントは重要ですので、次回もう少しくわしく説明しましょうか。
というわけで、もうちょっとだけ続きます。
では、1日1回クリックするのも、
段取りにしておきます? ・・・ (笑)
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今日の記事作成時間は35分でした。
では、また明日!
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