2011年04月22日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

継続しやすいタイムマネジメントの「手法」 : その2つの要件


こんにちは。水口です。

今週のメールマガジンでは、タイムマネジメントに関連した話として
『「波」はつきものだと考えよう』 という話を書きました。

今日はこれに関連した話です。


■ 「波」があるのは当たり前

この「波」というのは、仕事に対するモチベーション(やる気)の波であったり、
タイムマネジメントそのものに対する熱意の波であったり、仕事上の忙しさ
からくる注意力の波であったりします。


「そんな波なんて、あるべきではない」というのは、ある意味正論ですが、
現実的ではありません。

そもそも、人のやる気は常に一定というわけではありません。ちょっとした
出来事や体調の変化で変わることだってあります。また、やる気があまり
出ないときには「やる気を出そう」と思っても出せるものではありません。

もし、仮に「常にやる気が満ちあふれている人」がいたとしても、いろいろ
忙ししくなったり、抱えている課題が大きかったりするときには、どうしても
そちらに思考力・注意力が向いてしまうはずです。そうなると、タイムマネ
ジメントの方は、いくらか「なおざり」にならざるを得ません。これも(タイム
マネジメントに関しては)「波」のひとつです


こうした、タイムマネジメントに関する「波」をまったく無くすのは不可能です。
だからこそ、タイムマネジメントは、できるだけ手間がかからない方法で行う
べきだ。というのが、私の基本的な考え方の一つです。

このあたりまでは、メールマガジンにも書きました。
カンタン!効果的な!時間管理術!メールマガジン [まぐまぐ!]
【KKJ】265 タイムマネジメントを継続するために(2)



■ タイムマネジメントやタスク管理が挫折する理由

この話をもう少し突っ込んで考えてみましょう。

たとえば、手の込んだやり方のタイムマネジメント(やタスク管理)の手法を
試してみた。最初はちょっとテンションが上がって盛り上がるんだけど、それ
を継続するのが難しい・・・という話は、掃いて捨てるほどあります(私自身も
掃いて捨てるほど経験しています)。その原因の多くは、こうした「波」にある
と思います。

※ そもそも、新しいことを始めようとするくらいですから、その時期は
   もともとやる気が高いわけです。しかも、その手法を始めたばかりで
   あれば、その手法自体に対する興味が、さらにやる気をかきたてます。
   ある意味「やる気Max」状態でスタートを切るわけです。

   でも、その「やる気Max」状態が長く続くとは限らないわけで・・・、
   たとえば、仕事が忙しくなると、仕事そのものに注意が向いて、タイム
   マネジメントはおろそかになりがち。そこで手を抜くと、今度は再開する
   のがつらくなり、結局挫折してしまう・・・というわけです。
   (「GTDのレビューが続かない」という話はよく聞きましたが、おそらく、
    これに近いメカニズムで挫折した人が多いと思います)

   しかも、困ったことに、こうなったときの挫折感はハンパないです。
   「最初はあんなにやる気があったのに」「なんで継続できないんだ」
   「継続できない自分はダメだ・・・」という感じです。
   (私自身も、過去に何度もこういう挫折感を味わいました)


■ 挫折しにくいタイムマネジメントは?

じゃあ、挫折しないためにはどうすればいいか?

こういう「波」の存在を否定するのは、理想論としては間違ってませんが、
現実には難しいものです。

逆に、「波」があることを前提に、継続しやすい手法を構築する方が、
タイムマネジメントは継続しやすくなります。さっきの「やる気Max」状態
のときには「物足りない」と感じるくらいの方がいいのです。


タイムマネジメントやタスク管理には、さまざまな手法があります。

たとえば、アポイントメントだけでなく、タスクについても細かく実行時刻を
決めて時間割を作るのも、一つの方法です。

しかし、この手法は多くの人にとって、手間がかかるものになりがちです。
たとえば、「ちょっと上司に呼ばれた」「現場でトラブルが起こった」などの
予定外のことが起これば、そのたびスケジュールの見直しが必要になります。

元のスケジュールが詳細でリジッドな(固定された厳密な)ものであるほど、
その修正にも手間がかかります。ですから、この「時間割方式」は、予定外
の仕事がそれなりにある人だと、実行するのが大変なのです。
(一人でこもって作業できるタイプの職人や作家なら大丈夫かもしれません)

これは「手間がかかりすぎて継続できない」例です。この逆を行くには、
タイムマネジメントはできるだけ手間をかけないことが必要です。


あるいは、手間もそうだけど、「取りかかるハードルが高い」ことが、継続
を難しくするケースもあります。

その典型的な例が、毎朝「今日の計画」を立てるという方法です。

いま自分が抱えているタスクを整理し、そのなかから「今日やるべきタスク」
をピックアップする作業は、やってみるとかなり時間と頭を使うものです。

いくら「この2、30分が、それ以上の効率化を生むのだ!」と言われても、
やはり、取りかかるハードルが高いのは事実。やる気のあまり出ないときに
実行できなくても不思議ではないと思います。

こうならないためには、タイムマネジメントにおけるひとつひとつの作業の
負荷が低くなるようにするしかありません。


このように、

・ (トータルとして)手間があまりかからないこと
  (計画を立てるのも、修正するのも簡単なこと)

・ ひとつひとつの作業の負荷が低いこと
  (取りかかるときのハードルが低いこと)

この2つの要件は、タイムマネジメントを「継続しやすくする」という
観点で、極めて重要なことだと私は考えています。

また、最初っから、あんまり張り切りすぎないことも大事かもしれません。
「張り切らなくてもできる」やり方を探すことが重要ですから。


というここまでの話、参考になる方もいるかなと思ったので
書いてみました。ここからは、ちょっと蛇足になります・・・。




タイムマネジメントに関する手法は人それぞれいろいろありますし、本も
いろいろ出ています。米国では「その筋の権威」的な人もいたりします。

しかし、そこで紹介されている手法は、上記の2つの要件を満たしている
ようには思えない・・・。つまり、タイムマネジメントの手法自体、まだまだ
未成熟なんじゃないか?というのが私の考え(仮説)で、だから今の仕事
を始めたわけなんです。今の仕事は5年続けていますが、やはりこの仮説
は合っているように思えます。



本当は、今日紹介しようと最初に思ったネタがあったのですが・・・(汗)
話がちょっと違う方向にいってしまったので、またあらためて書きます。

今日の記事作成時間は47分でした。
では、また次回!
  

このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなにブックマーク
Posted by 水口和彦 at 11:30Comments(1)TrackBack(0)
2011年02月02日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

管理職も自分の残業をつけるべし!


こんにちは。水口です。

残業時間を減らすためには、時間管理(タイムマネジメント)をはじめとした
自己管理が有効ですが、それだけでなく「管理職」の認識や意識も重要です。


■ 自分の「残業時間」を意外と知らない管理職

先日、ある事業体で「管理職でない人」と「管理職」のそれぞれを対象に研修
を行ってきました。(それぞれ、別の日に行いました)

時間管理の手法などを紹介するだけでなく、「なぜ、残業が長いのか?」等の
問題点や、その対策案について討議してもらう、そんなタイプの研修です。


そういう研修(「残業を減らす」という目的がはっきりした研修)では、

  ・ 現状の残業時間がどのくらいか?
  ・ 残業をどのくらいにしたいか? (目標値)

ということを書いてもらう場合があります。

これをすると、管理職の方のなかには「現状どのくらい残業しているのかはっきり
しない」という方が、ある程度おられます。残業がつかない立場にあるので、
残業(に相当する時間)がどのくらいか、普段あまり気にしていないわけです。


■ 自分の残業時間を意識すべし

・・・というのは、割とよくある話ですが、これは望ましいものではありません。

上司が残っていると、(部下としては)帰りにくいと感じる人は多いですし、それが
いわゆる「つきあい残業」を生んでしまいます。

※ もちろん、「つきあい残業」なんてしない方がいいし、合理的ではないという
   理屈はあります(私もそういうことを研修で言います)。しかし、「合理的で
   ないから、つきあい残業はやめましょう」と言うだけで、つきあい残業が完全
   になくなるわけでもありません(この心理は、もう少し根深いものです)。
   ですから、上司の側が行動を変えることも必要ですし、自分の残業(に相当
   する)時間がどのくらいあるか意識すべきだと思います。


・・・というわけで、管理職の方は「残業がつかないからカウントしなくていい」と
いうのではなく、自分の残業時間をカウントしてみるといいと思います。

もちろん、その残業時間を減らす努力をすることも考えてみてください。

部下に「残業を減らせ」というのなら、自分の残業は意識していないというの
では、部下に示しがつかないところもありますからね。



今日の記事作成時間は28分でした。
では、また次回!
  
このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなにブックマーク
Posted by 水口和彦 at 20:00Comments(0)TrackBack(0)
2010年12月03日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

残業時間を過少申告した人は27.6%


こんにちは。水口です。

残業、特にサービス残業について、見逃せない数字がありました。

『』内は引用です)
 
『 連合総研が20代から50代の民間企業に勤める男女793人を対象に調査
したところ、残業手当の支払対象であるにもかかわらず、残業時間を会社に
少なく申告した人が27.6%いたことがわかった。過少申告した時間は、平均で
月17.7時間だった。』

 
『 申告しない時間があった人に、その理由を尋ねると、「自分自身で調整した
から」という人が81.8%とほとんどを占め、「上司から調整するように言われた
から」という人は11.7%にとどまっている。

なぜ自分で調整したのか尋ねると、「働いた時間どおり申告しづらい雰囲気
だから」が41.1%で最多。「なんとなく申告しなかった」18.8%、「残業手当に
限度があるから」15.2%、と続いている。

また、所定労働時間を超えて働いた人に、その理由(複数回答)を尋ねたと
ころ、「突発的な仕事があるから」(43.1%)、「人手が足りないから」(39.8%)
に次いで、「自分が納得するように仕事を仕上げたいから」(33.3%)が上がっ
ている。』

                                 (下記記事より引用)

■ 残業時間の過少申告


残業を実際よりも少なく申告している人が、27.6%いる。

この数字を多いと見るか、少ないと見るかは意見が分かれるかもしれません。
(昔はもっと多かったはずなので・・・)

しかし、過少申告している人(サービス残業している人)が3割弱いるという
のは、実際のところ・・・かなりまずい状況です。

上記の記事にあるように、過少申告している人の多くが自主的にそうしている
としても・・・労働基準監督署の指導が入れば「自主的にやってるから」という
言い訳は通用しません。

実際、企業や自治体において未払い残業(サービス残業)が発覚し、支払うよう
是正指導を受けたというニュースを調べてみると、新聞に載っているケース、
つまり金額が比較的大きいケースだけでも、毎月数件あります。

一旦調査が入ると、パソコンの使用履歴やメールの履歴まで調べられてしまう
ケースもあるほどで、調査はなかなか厳しいようです。


「昔はもっと大らかだったのに・・・」と思う人もいるかもしれません。実際、私の
サラリーマン経験を振り返ってみても、昔は今のように、サービス残業に対して
あまりうるさく言わなかったものです。その頃は、私も自主的にサービス残業を
していました。

それが変わってきたのは、この10年以内、特に5年前くらいからの話です。
大企業では、すでにサービス残業をさせない方向に変わってきたところも
ありますが、全体としてはまだまだというのが現状。あと数年は未払い残業
のニュースが途切れないんじゃないかな・・・という予感がしています。
(もちろん、それは決して良いことではないのですが)


■ 2つのサービス残業

上記の記事には、「過少申告してしまう理由」がいくつかあげられてますが、
実際のところ、理由は二種類に分かれると思います。


ひとつは、管理職や経営者が「(申告上の)残業時間を規制している」こと。
「無言のプレッシャー」的なものも含めてです。これはもちろん良いことでは
ありません。


そしてもうひとつは、従業員サイドで申告時間を調整していることです。
私のサラリーマン時代の実感として、こちらのケースもあると思います。

たとえば・・・

集中してやれば2時間で終わる仕事だったんだけど・・・ 同僚としゃべり
ながら仕事したり、仕事と関係ないネットを見ながらやっていたら、3時間
かかっちゃった・・・。こんなときには(帰る時間が3時間に相当したとしても)
「実質2時間だよな」と思いつつ、2時間としてつける。

そんな、言わば「ダラダラ残業」的なものも、いくらかあると思います。
アンケート調査などでは、なかなか言いにくいことなので、回答としては
上がってきませんが、こういう理由の残業もそれなりにあると思います。

あるいは・・・

残業をあまりつけられない(そうすると会社に迷惑がかかる)ことは
分かっているけど、もう少し時間をかけて仕事をしたいので残業する。
いくらか「自己満足」的な部分がある仕事なので、そのすべてに残業
代を請求するのも気が引けるので、少なめに申告する。

そんなケースもあるはずです。自分なりのバランス感覚で調整して
申告しているという感じです。

実際、私も昔はこの両方の過少申告をしたことがあります。
(昔の話ですが)


■ 従業員サイドも理解が必要(理解してもらうことが必要)

これらの残業時間の申告については、管理職サイドと従業員サイドで
意見が分かれることがあります。

最初の「上司が部下に過少申告させる」のは、もちろん問題ですが、
後者の「自主的に過少申告する」方は「別に問題ないじゃないか」と
いう人が、従業員サイドに結構多いのです。

「自分の都合や、自分のこだわりで増やしてしまった残業はつけない」
というのは、従業員側の姿勢としては立派だし、私も共感するところが
あります。しかし・・・ひとたび(労基署に)調査に入られてしまえば、そう
いった言い訳は通じません・・・。

最悪の場合、(従業員サイドで)自分が良かれと思ってやっていたことが
会社に迷惑をかけることにもつながってしまう・・・。そういうことも充分
あり得るのです。



「(残業をつけてないから)遅くまで残っていてもいい」という考え方は
もう通用しない・・・と考えるべき。そんな状況になっているのです。

個人的には、こういうタイプの本当に自主的なサービス残業は、したい人
にはさせてあげたい気がしますが・・・そうはいかないのが現状です。

このあたりが、いまひとつピンときていない人(昔ながらの感覚でいる人)
は、まだまだ多いような気がします。

ですから、管理職の方は、「部下にサービス残業させない」のはもちろんの
こと、「自主的なサービス残業も(会社として)困ることになる」ということを
理解してもらうよう努めるべきではないですかね。



今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!
  
このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなにブックマーク
Posted by 水口和彦 at 23:55Comments(0)TrackBack(0)
2010年09月02日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

組織としての「タイムマネジメント」や「労働時間短縮」のために


こんにちは。水口です。


■ 内閣府のHPにタイムマネジメントの話が掲載されました

先日、内閣府の「仕事と生活の調和推進室」というところで、
タイムマネジメントについて講演をしたのですが、その概要が
内閣府のHPにアップされてます。

(結構長いですので、お時間のあるときにでも↓)

「ワーク・ライフ・バランスに役立つタイムマネジメント」の詳細
|仕事と生活の調和推進(ワーク・ライフ・バランス)ホームページ



■ 組織としての「タイムマネジメント」

そのなかから、最近講演などでは話すのですが、本などにはまだ書いて
いない話をちょっと紹介します。

『』内は引用です)
 
『●組織的なタイムマネジメント
「タイムマネジメントは個人の裁量にかかっていると思われがちですが、やはり
組織全体のコミュニケーションも大事です。部下は自分自身の仕事量を把握し、
こなしきれないなら上司に相談することも必要です。一方、上司も部下からの
報告を待つだけでなく、自ら進捗を聞いてみることが重要です。

こうしたチーム内の要素以外にも、組織の労働時間に影響する環境要素が
大きく分けて2つあります。まず一つ目は、トップダウン的な要素です。トップの
方針として、「残業をさせない」と明確にリーダーシップを取っている経営者の
元では、確かに残業は少ないようです。二つ目は、社風や職場の慣習や雰囲
気などのボトムアップ的な要素です。職場全体の時間意識が低い場合は、ムダ
な残業が多くなりがちです。ムダな残業には3つの種類があり、これが習慣化
している場合も多いです。
1. 周りが帰らないから自分も帰りにくいという「つきあい残業」
2. 次に昼間は自分自身の仕事に集中できない「残業から本気」、
3. 最後が本人の仕事の進め方の問題である「なりゆき残業」
組織全体でムダな残業を減らしていくことが重要です。」 』


                                   (上記記事より引用)

「3つのムダな残業」についてはこれまでにも紹介していますが、他の要素も
含めて、実はいろいろあるのです。


私が本などでよく書いているのは、主に自己管理としてのタイムマネジメント。

これを、自己管理という側面を強調して 『セルフ・タイムマネジメント』と呼ぶと
します。これは上司も部下もそれぞれが行うべきものです。

※ 「管理職の仕事は予定外のことが多いからタイムマネジメントは合わない」
   なんてことはありません。むしろ、予定外のことが多い中で、予定したこと
   を見失わずやり遂げる必要があるため、より必要性が高いくらいです。
   (確かに、細かく時間割を立てるタイムマネジメントなら合わないですけどね)


この「セルフ・タイムマネジメント」は「時間の管理」という名目はあるものの、
実質的には「仕事の整理」から始まるものです。

この「仕事の整理」的な観点で言えば、チーム内のコミュニケーションや仕事の
進め方、特に上司と部下の間のコミュニケーションも当然重要です。

※ ここには、業務に用いるシステムや社内インフラなども、間接的に
   影響してきます。


この2つの要素、「セルフ・タイムマネジメント」と「チームのコミュニケーション」は、
チーム内の要素として影響が大きいものです。



そして、チームより大きいくくりでの組織、つまり、会社(または事業部)全体と
しての要素もあります。


その1つが、上記の「トップダウン」的な環境要素です。
たとえば、トップの方針やリーダーシップ、あるいは人事制度などです。

ちょっと強引な例ですが、社長が強力に「残業ゼロ」を推進し、定時になると
照明を消してまわるような会社では、残業はしにくくなりますし、残業をしにく
くなれば、限られた時間内でやりくりしようという意識も高まってきます。

その結果、タイムマネジメントのスキルが上がったり、業務が効率化すると
いう効果が出てきます(ちょっと時間はかかると思いますが)。


環境要素の2つめが「ボトムアップ」的な要素です。

こちらは、職場の慣習や雰囲気、「時間意識」などが含まれます。
実際、これは組織によって、かなり違うものです。

たとえば、いわゆる「つきあい残業」が多いか少ないかといった違いや、
会議が長いか短いかといった違いは、組織の慣習に影響されます。

また、人事制度も「制度」だけを見るのではなく、どの程度活用されている
かを見る場合は、このボトムアップ的な要素になります。
(制度が根付いているか、実際に制度を利用しやすいかという観点です)



■ タイムマネジメントや労働時間に影響する要素

タイムマネジメントや、労働時間に影響する要素は、このようにいろいろある
わけですが、大きく分類するなら


チーム内の要素
 ・ 各自のセルフ・タイムマネジメント
 ・ チーム内のコミュニケーションや仕事の進め方など

会社全体としての要素
 ・ トップダウン的な要素 (トップの方針や人事制度など)
 ・ ボトムアップ的な要素 (職場の慣習や雰囲気、意識など)

と分類できます。


企業向けの研修や講演では、最近はこういう説明の仕方を使うことが
あり、上記の講演でもこの説明をさせて頂いたわけです。

いろいろご相談を受けたりするなかで、だんだん気づいてきたのですが、
組織全体を考える場合には、これらの見方は意外に重要だと思います。


たとえば、「ワーク・ライフ・バランス」関係のコンサルを受けたけど、どうも、
もうひとつ成果が出ていない・・・ という組織の人に話を聞いてみると、
上記の「チーム内コミュニケーション」の部分についての指導はあったけど、
「セルフ・タイムマネジメント」についての指導が無かった・・・という事例が
ありました。これだと、確かに成果は出にくいと思います。
(ある程度の効果はあるけど、頭打ちになると思われます)

もちろん、基本になるのは「セルフ・タイムマネジメント」の部分だというの
は変わりないんですけどね。組織を変えていきたい場合は、このように
他の要素も踏まえて全体像を把握できた方が良いと感じております。



今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!
  
このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなにブックマーク
Posted by 水口和彦 at 23:55Comments(0)TrackBack(0)
2010年05月27日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

若手社員を襲う「共有地の悲劇」への対処法(その1)


こんにちは。水口です。

「時間」や「仕事」に関して、面白い記事がありました↓

「共有地の悲劇」〜なぜ落ちこぼれ社員はいつも時間をもてあますのか
(プレジデント) - Yahoo!ニュース


「共有地の悲劇」という言葉は、ご存じの方も多いかもしれません。
こういうことです↓。

『』内は引用です)
 
『 とある遊牧地帯に共有の牧草地がある。私有地なら牧草を食べつくさない
よう牛の数などを制限するが、誰もが利用できる共有地の場合、周囲の遊牧
民は自分の利益を最大化するために牛の数を増やしすぎる。なんらかの規制
を加えないかぎり牧草地は荒れ果ててしまうだろう。つまり個々の利益を最大
化することで、全体の利益は損なわれてしまう。これが数学のゲーム理論でい
う「共有地の悲劇」だ。』

                                   (上記記事より引用)


この「共有地の悲劇」が、職場でも起きている・・・。
特に、若手社員にもそれが降りかかる可能性があるというのがこの記事です。

『』内は引用です)
 
『 同じようなことはサラリーマン社会でも起きている。
 サントリー宣伝部の若手社員時代、僕は部長以下いろんな上役・先輩から急
を要する仕事や面倒な仕事、果ては困りごとの処理をやらされた。たとえば
「日本酒業界の収益構造を知りたい。3日後までにレポートをつくれ」とか「明
日の業界団体の集まりで社長がスピーチするから原稿を書け」という仕事が突
然まわってくるのである。』


日本の会社は概して、仕事の分担(業務分掌)があまり明確でないため、
「頼まれごと」として色々な仕事が回ってきます。ときには部署の枠まで飛び
越えて来ることすらあるわけで・・・そういう仕事にどう対処するかは重要です。

 
『  あるとき、仕事を通じてお付き合いのあったマーケティングの大家、村田昭治
・慶応大教授(現名誉教授)に自分の境遇を嘆いたことがある。村田教授は、
なんだ、そんなことかという顔で次のように諭してくれた。
「君は幸せだよ。若いうちは経験することがすべて勉強だ。その点、君は次々と
新しい仕事を覚えられて得じゃないか。会社だって、社員をつぶしたら損だから
無茶はしない。それに君のところの部長は忙しいんだ。できないとわかってい
る社員に仕事を頼むわけはない。君は期待されているんだよ」
 なるほどそうか。僕はラッキーな男なんだ。そう思うと、ふつふつとやる気が
湧いてきた。』

                                   (上記記事より引用)

なるほど。こう言われると、確かにやる気がでるかも。
うまいこと言いますね。

で、記事はこう続きます。
 
『  もっとも、多忙がすぎれば体を壊す。「今日中にやってくれ」「3日後までに
調べろ」という無理難題に対して、僕は自分なりに次のような対処基準を設け
ることにした。(1)どんな要求にも必ずアウトプットを出す、(2)精度や完成度
は必ずしも100%に固執せず 60%でよしとする――この2点である。
 僕は勝手に「60点主義」と名づけ、通常の仕事のほか急な頼まれごとを次々
こなしていった。するとますます上役から信頼されるようになり、「君は余人を
もって代えがたい」とまでいわれるようになったのである。』



この「60点主義」的な、自分のルールを作ることは、私もとても大事だと感じて
います。

それが60点なのか、70点なのか、あるいは80点なのかは、仕事(頼まれごと)
の内容によっても違ってきますが、いずれにせよ、自分で基準を持つことが必要。

基準を持たないと、どうしても「一つの仕事に時間をかけすぎてしまう」ことに
なってしまいやすいのです。

※ また、同じ人でも「○○の仕事は60点でいい」「□□の仕事は90点狙い」
   と仕事の内容によって基準は変わります・・・  というか、変えるべきです。
   たとえば、社内資料の作成は60点。社外に提出する資料は80点とか・・・
   そんな感じです。


自分が「共有地の悲劇」にならないためには、そういった自衛手段が必要。
もちろん、上司が仕事の交通整理をすることも必要だと、記事はまとめられて
います。


ちなみに、上記の記事を書かれているのは、作家の野村正樹さん。

サントリーに勤めながら、作家として多くの本を書く、いわゆる「二足のわらじ」を
された経験も踏まえ、時間の使い方についての本も色々出されています。

ビジネス的な書籍も多く出されていますが、さすが「作家」というべきか、面白い
文章、読ませる文章になっています。私のようなビジネス書しか書けない者
(ビジネス書限定の作家?)とは違いますね (← 反省・・・)。




ちなみに、日経BP社さんでの「BPnet」の連載では、私からのアドバイスと
して「頼まれごとが多い状況」への対処法について書いています。上記記事
とは違った視点からの対処法ですので、そちらもご覧になってみてください。
(来週金曜公開予定なので、まだ先ですが)

意外に簡単!はじめてのタイムマネジメント
| BPnetビズカレッジ:入門講座 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉



今日の記事作成時間は25分でした。
では、また明日!
  
このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなにブックマーク
Posted by 水口和彦 at 23:55Comments(0)TrackBack(0)

時間管理術研究所の無料メールマガジンで
モチベーションアップしてみませんか?
メールアドレスを入力すれば登録できます! → 

Copyright (c) 2005-2014 BizARK Inc. All rights reserved.