2009年07月07日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

すべてのタスクは分解すると「HIROEN」になる(2)


こんにちは。水口です。

今日は昨日の続きで「HIROEN」の話、
タスク管理の考え方を一段レベルアップするための話です。


■ タスクを分解すると「HIROEN」になる

昨日の記事では、タスクを分解していくと「HIROEN」になるという話を
紹介しました。

HIROENというのは、

 H (Hear:聞く)
  I (Inform:知らせる)
 R (Request:頼む)
 O (Operate:作業する)
 E (Examine:調査・検討する)
 N (Negotiate:交渉する)

の略です。

これらの仕事(タスク)の(英語の頭文字を並べると「HIROEN(披露宴)」と
いうわけで、覚えやすくなっています。


私は、入社してまだ2、3年目の頃に、この考え方を教わったのですが、この
考えを早めに教えてもらえて良かったと、今でも思っています。

たとえば、「会議の議事録を書く」という仕事があった場合、その仕事の本質
は、その内容を「知らせる」ことにあります。(だから、華美な議事録を作るより
も、早く知らせることが重要な場面も多いわけです)

そんな、ひとつひとつの仕事・作業の本質を意識して仕事をするためにも、
「HIROEN」の考え方は有効だと思います。

新人さんに「なぜこの仕事(作業)をするのか?」と、考えてもらうという意味
でも、役に立つ分類だと思います。(ぜひ教えてみてください)

――――――――――――――――――――――――――――――――
(昨日も書きましたが、念のために再掲: E(調査・検討)について)

 厳密に言うと、E(調査・検討)は、「調査・検討」ではゴールが明確でないので、
「(調査・検討した上で)決定する」ことがタスクだと考えてください。

※ 「HIRODN」では覚えにくいので、分類は上記のままでいいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――


■ タスクの実行順序を考えるために

なぜ、この「HIROEN」を紹介したかというと、

  「どのタスクを先に実行すべきか?」

という命題と関係してくるから・・・ というところまで昨日書きました。


「タスクの実行順序」というと、一般的な「優先度」の話、つまり、「重要なタスク
から優先して実行すべし」といった考え方がよく紹介されます。しかし、そういう
視点とはまったく別に、考えるべき実行順序があります。

これはプロジェクトマネジメント的に言えば、「クリティカルパス」の考え方と共通
するところがありますし、TOC的に言えば、「DBR:ドラム・バッファー・ロープ」
の考え方とも共通するのですが・・・ それを「自分の仕事」に適用する前提で
もっと簡単にすると、

□ 待ち時間が発生する(可能性がある)タスク

  (人に連絡したり、人にものを頼んだりといった仕事)

□ (自分がやることだけど)時間が読みにくいタスク

  (調べ物など、やってみないと時間が読みにくいタスク)

これらのタスクは、早めに行う方が良いのです。

これらは、ちょっとしたタイミングの違いで(相手がつかまらなかったりして)、
待ち時間が発生したり、調べ物がすぐに見つからなかったりなど、予想以上
に時間がかかってしまうことがある、そんなタスクです。

ですから、先に行っておけば何でもなかったのに、後回しにしたせいで仕事
全体が遅れてしまうこともあります。

※ たとえば、「人に(何かを)聞く」というタスクは、早めに行えば、
   時間的に余裕が生まれます(バッファーがあります)。しかし、
   これを先延ばしして遅らせてしまうと、元々のクリティカルパス上
   のタスクよりも遅くなってしまうこともあります。
   (そうなると、仕事の完了日が遅れてしまいます)

   「クリティカルパス」の説明はここでは省きますが、基本的に、主に
   自分だけが動く仕事では、クリティカルパスは特に考えなくて構い
   ません。その代わり、上記のタスクを早め早めに行うようにします。
   こうすれば、(実行順序という意味での)失敗はほぼ起こりません。


一方、自分が「作業する」タスクは、これらよりも時間は読みやすいです。

というわけで、HIROENのなかでは、O(作業する)以外のタスクを先に
片づけてしまった方が、仕事の進みは良くなります。


まとめると、こういうこと↓です。

 H (Hear:聞く)     ☆早めにやる
  I (Inform:知らせる) ☆早めにやる
 R (Request:頼む)  ☆早めにやる
 O (Operate:作業する)  ← これ以外を優先させる
 E (Examine:調査・検討する) ☆早めにやる
 N (Negotiate:交渉する)   ☆早めにやる

要は、「人」と「調べ物」がからんだタスクは早めにやれ・・・ということです。

これは自分のためでもあると同時に、相手のためでもあります。時間的な
余裕が無くなってから、頼みごとや質問、交渉ごとなどをされても、相手も
困りますよね。そういう「気づかい」的な側面もあります。
(もちろん、メインは自分のためでもあるわけですが)




ちなみに、この実行順序についての考え方は、もともとのDIPSにあった
ものではなく、私がつけ加えたものです。

仕事を段取りよく進めるためにこの考え方は役に立つと思いますので、
頭に入れておいてはいかがでしょうか。



※ 念のため補足しておきます・・・

   今回の話は「タスクの実行順序」についての話であって、これ以外に
   タスクの実行時間を確保することが必要です(タスク管理・リソース管理)

   もし、タスク管理・リソース管理ができていなくて、O(作業)のタスクを
   後回しにしてばかりいると、作業ばかりたまって後が大変になりますので、
   そこはご注意を・・・。

今日の記事作成時間は42分でした。
では、また明日!
  

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Posted by 水口和彦 at 23:50Comments(2)TrackBack(0)
2009年07月06日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

すべてのタスクは分解すると「HIROEN」になる(1)


こんにちは。水口です。
まず、一点ご連絡です。

昨日(日曜日)に発行したメールマガジンが届いていないと、読者の方から
ご連絡頂きました。

メールマガジン自体は昨日(20:00から)発行しておりますが、もしかしたら
一部の方に届いていないかもしれません(まれにそういうことがあるようです)。

私の方ではメールアドレスの管理はしておりませんので、「届いてないよ!」と
いう方は、申し訳ございませんがこちら↓から再登録して頂けますと幸いです。

カンタン!効果的な!時間管理術!メールマガジン [まぐまぐ!]
(バックナンバーもこちらで見ることができます)



■ 「手帳の学校」がニュースサイトに紹介されました

では、本題に入ります。

「手帳の学校」の件は昨日の記事でも触れましたが、それが「誠 Biz.ID」さん
というニュースサイトに取り上げられました。

(↓この記事です)
誠 Biz.ID:手帳の学校:
「2009年後半はやりたいことをやる」ための「手帳の使い方」とは
(1/2)


主催の舘神さんと私は写真入りで紹介されております(汗)

私は絶版(かもしれない)『超カンタン!時間管理術』を手にした、笑顔の写真
(苦笑?)が掲載されております。この本は一番最初に書いた本で、それなりに
思い入れもあるのですが、現在はAmazon等で入手が難しくなっております・・・。

(この本↓です)
―――――――――――――――――――――――――――――――
超カンタン!時間管理術―誰でもできる超カンタン!時間管理術―誰でもできる
著者:水口 和彦
販売元:秀和システム
発売日:2006-03
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


―――――――――――――――――――――――――――――――
(新品は入手不可です。中古は現在1点のみ)

  この本↑今読み返してみると、決して読みやすい本ではないのですが
  (こういうムック本にしては字が多いですし)、評判は良かった本です。

  どちらかというと、「これから時間管理を始めよう」という人よりも、
  「過去に他の時間管理術を試したことのある方」に評判良かったと
  分析しております。


■ タスクは「HIROEN」に分解できる

今回のセミナーは、特にこの本から取り上げたというわけではなく、私が
推奨する時間管理の手法を取り上げました。

先の記事では、私が時々紹介させて頂いている、「HIROEN」のことも
取り上げられています。


この「HIROEN」というのは、タスクを分解(ブレイクダウン)していくと、
(ほとんどのタスクが)この6つになるという例です。

元々、『知的生産性向上システム』という、ものものしい(?)名前のついた
『DIPS(ディップス)』という手法のなかの1つです。

この「DIPS」という手法、私が前の会社で入社2,3年目の頃に、その部署
で導入され、実践した手法です。(本もいろいろ出ています↓)

(こういう本も出ています↓)
―――――――――――――――――――――――――――――――
知的生産性向上システムDIPS(ディップス)知的生産性向上システムDIPS(ディップス)
著者:小林 忠嗣
販売元:ダイヤモンド社
発売日:1992-01
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


―――――――――――――――――――――――――――――――
  この本も絶版ですが、当時(15年以上前)は結構売れていましたので、
  現在も中古で入手することは容易です(ブックオフでも時々見かけます)。


私はこのDIPSという手法について本も読みましたが、それだけではなく、
組織で実践するという経験をしてきました。それだけに、この手法の良い点、
悪い点は分かっているつもりです。

※ ちなみに上記の本には、今で言う「がんばるタイム」の考え方も入って
   います。(もしかしたら、これが元祖でしょうか?)


たとえば、このDIPSでは、

 □ 1週間のタスクを優先度別に書き出す
    (優先度で分類したマトリックスを用います)

という手法が推奨されていました。

ただ、この手法、結構手間がかかってしまいますので、なかなか継続できない
というのが難点です。そのときは(前の会社で)、私だけでなく大勢で実践しま
したが、結局誰も長続きしませんでした(数ヶ月続けば良い方でした)。

その経験のおかげで、「優先度をつける」、「時間を作ってタスクを書き出す」と
いう手法の限界を見た気がします。(これも別の意味で参考になってます)


そんな感じで、私は「DIPS」の手法のすべてを推奨しているわけではないの
ですが、参考になったことはいくつかあります。その一つが「HIROEN」です。

HIROENというのは、

 H (Hear:聞く)
  I (Inform:知らせる)
 R (Request:頼む)
 O (Operate:作業する)
 E (Examine:調査・検討する)
 N (Negotiate:交渉する)

の略です。

※ 上記記事では「Examine」のスペルが間違ってます・・・。
   私の板書が汚かったせいかも (汗)

厳密に言うと、E(調査・検討)は、「調査・検討」ではゴールが明確でないので、
「(調査・検討した上で)決定する」とした方がいいと思いますが、そうすると
「HIROEN」にはならないので・・・このままでも良いかと思います。

 ※ 考え方の上では「調査」や「検討」ということ自体が仕事ではなく、
    その結果をふまえて「何かを決める」ことが仕事だと考えてください。


さて、この「HIROEN」ですが、実際に何かの仕事を分解していくと、確かにこの
6つのどれかに収まるようになってきます。考えてみると面白いですよ。
(新人さんへの教育用にも適していると思います)

なぜ、セミナーで、この「HIROEN」を紹介したかというと、これが

  「どのタスクを先に実行すべきか?」

という命題と関係してくるからです。


「重要なタスクは優先すべし」といった、抽象的な「優先度」論ではなく、もっと
実用的、具体的なタスクの実行順序の話です。

・・・長くなったので、この話はまた明日に。



今日の記事作成時間は51分でした。
では、また明日!
  
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Posted by 水口和彦 at 22:55Comments(2)TrackBack(0)
2009年03月23日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「できればやるタスク (アンコミットなタスク)」の効果と注意点


こんにちは。水口です。
今日は昨日の記事の続きで「タスク管理」の話です。


■ シンプルな「タスクの優先順位三段階」

昨日は、

  タスクにABC式に優先順位をつけても、悩みが深くなる割に
  実用的な効果はあまり無い

という話をしました。

昨日の話では、

  優先順位を付ける基準そのものが不明確

という点を主に述べましたが、さらに、

  優先順位を付けることで安心してしまう

  (できるような気がしてしまう:本当は仕事が多すぎて出来ないのに)

という問題もあります。

私は昔「ABC式」でタスク管理を行っていた時期がありましたが、どうも
仕事がうまく回らないと感じていましたし、気分的にもスッキリしないものを
感じて悩んでいたことがありました。

結局、上記の問題がその原因だったわけです。そして、タスクに関しては
もっとシンプルに考えるべきだと思うに至ったわけです。それが、


  絶対やる / できればやる / やらない


という分類です。

こんな単純な分類では物足りないという人も多いかもしれませんが、実際の
ところ、この分類すら決めていない人が多いのが現状です。そして、そのせいで
余計な悩みを引き延ばすことになってしまいます。


■ 時間管理の目的 (3つの自分を両立させる)

仕事とプライベートのどちらでもそうですが、人は誰でも「あれもやりたい」、
「これもやっておきたい」と、やりたいことは色々とあるものです。

しかし、限られた時間の中で、そのすべてを実現するのは困難・・・。

その理想と現実の折り合いを、できるだけうまくやれるようにする。という
のが、時間管理の目的の1つです。


別の言い方をすると、

  「構想する自分」
 (あれもやりたい、これもやりたい・・・)

  「決断する自分」
 (今は「これ」をやろうと決める:計画を立てる)

  「実行する自分」
 (選択したことを実行する)

この三つをうまく両立させていくことが必要だということです。


■ 両立できていない例

たとえば、よくある「やりたいこと、やるべきことを書き出す」というタスクリスト
(TODOリスト)は、「構想する自分」に相当します。

本来なら、それを書き出す一方で、どれがやれて、どれはやれないかを判断
していく必要があります(「決断する自分」:リソース管理の視点です)。

その視点がなければ、「構想する自分」と「実行する自分」の間のギャップが
大きすぎますから・・・、

  「色々やりたいことはある(書き出してもいる)。
   でも、全然できてないよな・・・」

と、変に落ち込むことになってしまいます。
(そのうちタスク管理も嫌になってしまいます)

あるいは、

   「あれもこれもやろうとして、どれも中途半端」

という状況になってしまうこともあります。いろいろ努力している割には、肝心
の成果につながらないという状況です。
(組織としてそうなってしまう場合もあります)


ですから、「やりたいこと」群の中から、「これはやる」「これは(今は)やらない」
と決断していくこと(「決断する自分」)は、必要なことなのです。

それが最初の

  絶対やる / できればやる / やらない

の分類を決めるということです。


「決断する」というくらいですから、「絶対やる/やらない」の2分類を基本に
すべきですが、一部は「できればやる」という扱いにしても構いません。


■ 「できればやる」タスクの効果と注意点

この「絶対やる」というタスクのことを、「やる」と決めた(約束した)という意味で
「コミット」したタスクと呼ぶことにすると、先の分類は


□ 絶対やる    : 「コミット」したタスク

□ できればやる : コミットしてない(「アンコミット」な)タスク

□ やらない    : (すでに「タスク」ではない)

と言うことができます。


仕事の中では、大半のタスクに対して「絶対やる」か「やらない」と決めていく
ことが重要です。「できればやる」という宙ぶらりんのタスクが増えすぎるとよく
ありません。

ただし、「できればやる」はゼロにしなくても構いません。

たとえば、

□ いつか○○方面に出向くことがあれば、
   そのついでに、△△△△を見学してみよう

□ 今度□□書店に行ったときには、
   ▲▲分野の専門書のコーナーを見てみよう

といった、不急だけれども機会があればやっておきたいことなどを、書きとめて
おいたりすると役に立ちます。(「ついでにタスク」 という感じです)

また、時間という切り口で見れば、

□ 今週、余裕があれば、○○の件をやっておこう
   (まだ先だからやらなくていいんだけど、余裕があれば早く取りかかろう)

というように、将来の「コミットしたタスク」を今週の「アンコミットなタスク」として
取りかかるということもできます。


こういった、「やれればやるし、もしやれなくても大丈夫」というタスクは、一種の
調整役として働きます。また、こうしたタスクを実行できると「プラスアルファ」の
ことがやれたという実感もあり、気分的にも良いものです。


ただし、注意点もあります。

まず、たとえ「できればやる」の扱いだとしても、タスクが増えすぎると、それが
負担に感じることもあります。やたらと増やしすぎないことも重要です。

※ ですから、当面やれないものは「今はやらない」タスクとして、
   スケジュールとは別にメモしておくのもおすすめです。


また、本来は「絶対やる」タスク(ちゃんと時間を確保すべきタスク)であるもの
を、つい「できればやる」タスクにしてしまうとまずいです。

逆に「やらない」「やれない」という判断を先送りするために「できればやる」扱い
のタスクを増やしてしまうのもよくありません。
(断ったり、人に振るのは早い方がいいですから)


つまり、

  絶対やる / できればやる / やらない

の中で、「できればやる」は少なめにすることが必要です。

一種の潤滑油的な役割で、少量あると効果的ですが、多すぎると副作用が
大きくなると言っていいと思います。



この「できればやる」の扱いについては、
明日もう少し触れてみたいと思います。



今日の記事作成時間は47分でした。
では、また明日!
  
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2009年03月22日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

A・B・Cではない 「タスクの優先順位」三段階


こんにちは。水口です。
今日は時間管理(直球系?)の話です。


■ 「タスクの優先順位」について


「タスクの優先順位」と聞くと、「?」と思われる方もおられるかもしれません。
というのは、私は「優先順位」は基本的に考えなくていいという考え方をして
いて、そのことをこのブログや本でも何度も書いているからです。


もう少し具体的に言うと、

  タスクに「A・B・C」などの優先順位をつけるのは
  あまり意味がない

と考えています。


説明しだすと長くなりそうですが・・・ 少し例をあげて言うと、

タスクに「A・B・C」と言ったランク付けをする手法は、時間管理のやり方として、
以前から(80年代から)紹介されている手法です。

・ まず、「今日やりたいタスク」を書き出す
          ↓
・ それにランク付けをする (ここでABCが出てくるわけです)
          ↓
・ ランクの高いものから実行していく

というのが基本パターンです。


「優先順位の高いものから順番にやっていく」というのは、一見合理的ですが、
実際にはなかなかうまくいかないものです。特に忙しい人ほどそうです。

なぜなら・・・ まず1つの問題が、

□ 優先順位がCランクの仕事は結局いつまで経ってもできない

という点にあります。次々にAランクBランクがやってくると、Cランクのタスクは
いつまで経ってもできないことになりがちです。数日先延ばしするくらいならまだ
いいのですが、1週間、2週間とできないまま先延ばしするのは、気持ち的にも
嫌なものです。

また、

□ Aランクの仕事で手こずってしまうと、BCランクの仕事がたまっていく

という問題もあります。たとえBランクCランクの仕事であっても、細かい仕事で
あっても、その数が増えてくると気が重いものです。そんな状況でAランクの仕事
に集中しろというのは、厳しいものがあります。

※ 実際、こういう状況に陥ったときは、まずBCランクの中から、すぐに
   終わるものをピックアップしていくつか片づけてしまうと気分的にかなり
   スッキリします(それだけ変なプレッシャーを感じていたということです)。


このへんの「優先順位」の話とか、「重要度と緊急度」の話とかは、実際に日々の
タスク管理を行うためにはあまり「使えない」話だと思います・・・。

※ 基本方針としては意味がないわけではありませんが、日々のタスク管理は
   これだけではできない。違う尺度も必要だということです。



■ タスクの優先順位: 別の三段階説


というわけで、私はABC式の優先順位は自分でも使いませんし、人にすすめる
こともないのですが、別の基準は持っています。


その基準というのは、タスクに対して


□ 絶対やる

□ できればやる

□ やらない

という基準で判断することです。これは本などでも書いています。

拍子抜けするような単純な分類ですが、実はこれはとても実用的です。


■ 「絶対やる」仕事とは?

実際、仕事をしていると、

  つまらない仕事、成果にならない仕事だけど、
  約束してしまった以上、やらなくちゃいけない

というタイプの仕事はあります。


こういう仕事はABC式だと「C」ですが、私は「絶対やる」に分類します。

成果にならなかろうが、いつかは必ずやらなければいけない仕事。それなら
優先順位なんて考えず、いつやるか決めて、やってしまった方がトラブルも
少ないですし、自分もスッキリします。


■ 「やらない」仕事とは?

では、どんな仕事を「やらない」と判断するかというと、それはケースバイケース
の部分もあります。時には同じ仕事でも、忙しさ(他の仕事の状況)によって、
やるかやらないかの判断が変わることもあります。

また、無条件的に「やらない」という仕事もあれば、涙をのんで「やらない」と
いう仕事もあるわけですが、ギリギリの判断をする場合は、自分のリソース
(使える時間)と相談して決まってくるものです。


■ 「できればやる」仕事とは?

この2つ(「絶対やる」と「やらない」)の間に存在するのが、「できればやる」と
いうタイプの仕事です。

・「やらなければまずい(困る)」というわけではないけれど、ぜひやっておきたい

・本当にいつでもいいんだけど・・・、出来るときにやっておけばいい

そんな仕事です。

これは、言わば「宙ぶらりんの仕事」ですから、このタイプの仕事が多すぎると
困るわけですが、ある程度はあっても構いません。ある種の時間の「調整役」
といってもいいかもしれません。



先ほどの分類をもう一度。

□ 絶対やる    : 「コミット」したタスク

□ できればやる : コミットしてない(「アンコミット」な)タスク

□ やらない    : (すでに「タスク」ではない)


このように言うこともできます。


実は、この「コミットした」タスクと、「アンコミットな」タスクについて、
ご質問を頂いていたので、その話をしようと思っていたのですが、
前段で少し長くなってしまいました。 続きはまた明日に。



今日の記事作成時間は57分でした。
では、また明日!
  
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メール術: 大量のメールをどうさばくか?(の基本的な考え方)


こんにちは。水口です。

今日は「メールをいかにしてさばくか?」という話です。


■ 大量のメールに困っている場合には・・・

メールは仕事上のコミュニケーションに使う物であり、「メールをさばく」という
表現は適切ではないかもしれませんが、業務上のメールが大量になってくると
感覚的には「さばく」という感じになってきます。

実際、(迷惑メールや売り込みメール、メールマガジン等を除いて)1日に100件
以上のメールに目を通さなければいけないという人は、決して珍しくありません。
(先日も、セミナーのご参加者にそういう方がおられました)

メールについては、このブログや本でも書いたりしたことがありますが、
根本の部分にさかのぼって、書いておきたいことがあります。


■ なぜ、メールが多いのか? 見直してみる

先の「大量のメールをどう処理するか?」 という話ですが、
まず、第一に考えないといけないことは、そんな状況の見直しかもしれません。


連絡や調整等のコミュニケーション業務が本務の場合は別として、そうでない
場合は、1日にそれほど大量のメールをやり取りしなければいけないという
状況自体を変えていくことも考えてみるべきです。

※ 社内メーリングリスト等で「目を通す」だけでいいメールが多いなら、100通
   以上あっても(さばき方次第で)、それほど負担にはなりませんが、そうで
   ない場合は、1日に100通以上あると、かなり本務を圧迫するはずです。

「状況自体を変えていく」というのは、権限委譲(部下の判断に任せる部分を
増やす)ことが第一です。他には、細かい指示を出さなくて済むように業務の
マニュアル化部分を増やすこともあります。


■ メールのさばき方を改善する

とはいえ、特に大きな組織の中で仕事をしていると、メールの数は多くなりがち
なもので、メール自体の「さばき方」も大事になってきます。

ここで大事なのは、極力「一方通行」で処理することです。「一方通行」という
のは、同じメールを何度も見ないで済むように、仕事の流れを考えることです。

たとえば、次の2パターンを比べてみると・・・

――――――――――――――――――――――――――――――
パターン1

  (メールが20通ほど受信されている状態から・・・)
                ↓
  メールを読みながら、そのメールの優先度を判断する
                ↓
  一通り読み終えてから、優先度の高いメールから返信していく

――――――――――――――――――――――――――――――
パターン2

  (メールが20通ほど受信されている状態から・・・)
                ↓
  まず1通に目を通し、その場で返信する
  (返信が済むまで、次のメールは見ない)
                ↓
  1つずつ、順番に読む(+返信)を進めていく

――――――――――――――――――――――――――――――

このどちらが流れとして効率が良いかというと・・・、
実は後者(パターン2)です。

「優先度の高いメールには早く返信しなくっちゃ・・・」という焦りも手伝い、
ついつい前者のような対応をしてしまいがちですが、前者の方法は、

□ 結局同じメールを読み直す(2回読む)ことになりがち
□ どれに返信して、どれが返信不要か混乱しがち
   (何度も確認したりして手間がかかる+ミスの原因になる)

という面で、流れの悪い(二度手間の多い)仕事になってしまいます。


実際には、すぐに返信できるメールばかりではなく、何かの作業をしてから
改めて返信するものもあったりするので、上記よりは複雑になりますが、
基本は同じです。

同じ意味で、受信するたびにメールをチラチラ見ながら、返信は後回しに
するというのも、効率は良くありません。
(自分の仕事を中断させるし、二度手間の原因にもなりますので)


■ 「優先度の高いものから処理」は(基本的に)効率が悪い

人は、メールに対して「早く返信しなくっちゃ」というプレッシャーを感じ
やすいものですから、「優先度の高いものから処理しよう」と考えてしまう
のは当然のことかもしれません(私もそう感じることはあります)。

また、「優先度を判断して、処理する手順を考える」という仕事のやり方
は、なんとなく「できる人」的なイメージもありますし、「仕事をした」という
感覚もあります。


しかし・・・、優先度の高いものを優先して処理するという作業は、
ほとんどの場合、トータルでの作業工数を増加させてしまいます。

工場でも、そういうことはたまにあります。トラブル等で納期遅れになりそ
うな製品の出荷を間に合わせるべく、その生産を優先して行えるよう調整
して何とか間に合わせる・・・。そういう作業は頭も使いますし、やり遂げた
ときには充実感もあるものです。

しかし、そういう仕事は、できれば無い方が望ましいわけです。

実際、そういった仕事のやり方をせざるを得ないときには、トータルで
見れば、生産量の割に工数(手間や時間)がかかっています。
つまり、全体で見れば効率の悪い仕事のやり方だということです。



メールも同じことです。もちろん、業務内容や仕事の状況によって例外は
ありますが、基本は1つずつ順番に処理していった方がトータルの効率は
高まります。

先ほどの「一方通行」で処理する、というのはそういう意図なんです。


メールは、ついあせってしまいがちなもの、気になってしまいがちなもの
です(私も日々そう感じます)。だからこそ、「一方通行」式のルールを自分
で決めておくのが有効だと感じています。

自分のルールについて、考えてみる(見直してみる)のはいかがでしょうk?


今日の記事作成時間は44分でした。
では、また明日!
  
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Posted by 水口和彦 at 23:55Comments(0)TrackBack(0)

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