コンプライアンス問題のトップは「サービス残業」?
こんにちは。水口です。
今日は、先日「痛い用語」の候補としてあげられていた・・・
コンプライアンス関係の話です。
■ 職場でコンプライアンス違反があったら、通報しますか?
こんな記事がありました。
職場でコンプライアンス違反があったら「通報する」2割にとどまる
(MarkeZine) - Yahoo!ニュース
(『』内は引用です)
『 スパイアと第一法規は、6月に会社員を対象にした「コンプライアンスに関
するアンケート調査」を行い、1000 名の回答を得た。
コンプライアンスを意識している人は全体の5割近く、「どちらかといえば意識
している」を合わせると、全体の8割以上がコンプライアンスに関する何らかの
意識を持っている。
しかし、実際に職場内でコンプライアンス違反があった場合に、上司や内部
通報窓口に知らせると答えた人は2割台にとどまっており、意識と実践には
開きが見られた。
また、違反の際の報告行動については、管理職と一般社員の間に違いが
ある。管理職では「知らせる」とした割合は40.7%であるのに対して、一般
会社員では23.2%と低くなっており、管理職はより強いコンプライアンス意
識を持つ状況にあると言える。 』
(上記サイトより引用)
昔に比べると、企業内部からの通報は増えていると感じますが、実際に
「通報する」という人はまだまだ少数派なんですね。
(もしかしたら、増えた結果でこうなのかも?)
こういうと少し語弊があるかもしれませんが、日本の企業は、「法令」を遵守
するという意味の「コンプライアンス」よりも、組織内部のルールの方を重視
しがちだと言われています。(宗教観・倫理観とも関わってくる部分です)
ですから、社内で普通に行われていることは、たとえ「違法」なことであっても、
通報しない人が比較的多いと言われていて、上記はその通りの結果かなと
いう気がします。
ただ、それが行き過ぎると「クレーム隠し」のような問題につながることもあり、
コンプライアンスを無視することのリスクは認識されつつあるのも事実。
※ 上記記事で管理職の方が「知らせる」と答える比率が高かったのは、
「管理職の方が倫理観が強い」というわけではなく、このリスクを意識
しているかどうかの違いだと思います。「もし大事になったらまずい」と
いう危機感はあるわけです。
■ コンプライアンス問題のトップは「サービス残業」?
上記記事には、元ネタになったプレスリリースがあって、それはPDFで
公開されています↓。
http://www.spireinc.jp/news/pdf/20090728_TR_release.pdf
そちらの方を参照すると、こう書かれていました。
(『』内は引用です)
『コンプライアンス違反の発生が懸念される分野としては、
「労働時間・賃金」「人権侵害」「労働安全」
が比較的多く挙がっている。「労働時間・賃金」分野で[起こりそう]と
[どちらかといえば起こりそう]を合わせると54.8%(中略)となっている。』
(上記PDFより引用)
そのトップの「労働時間・賃金」分野というのは、
労働時間の把握漏れ、サービス残業の放置、
最低賃金を守らない等
という内容です・・・。これがダントツに高いです。
「最低賃金を守らない」企業は少数派でしょうから、実質的にサービス残業の
問題がトップだということです。
また、このアンケート上では一応「起こりそう」「どちらかといえば起こりそう」と
いう回答になっていますが、実際はサービス残業の問題は「すでに起こっている」
企業がかなり多いのではないでしょうか・・・。
サービス残業は、割と世の中に蔓延しているコンプライアンス問題です。
かつては私も(自分の意思とはいえ)やっていましたし、もっと時代を遡れば、
サービス残業なんて全然普通のことでした。
※ 私の場合、退職前には(忙しかったけど)サービス残業をしなくなった
(しなくて済むようコントロールできるようになった)のが救いです。
本来は自分の意思でやっていてもNGですから。
サービス残業に関しては、是正指導の件数も毎年増え続けていますし、どの
企業も「そろそろまずい」と思っているのではないでしょうか。
そして、サービス残業を無くす企業が増えるほど、それに遅れをとった企業は
是正指導のリスクや、それを報道されるリスクが高まります。
そろそろ潮時では・・・? と思うのですが、どうなるでしょうか。
時間管理を(継続しやすい方法で)やれば、サービス残業は減らせます。
と、ちょっとだけアピールもしておきます。
今日の記事作成時間は44分でした。
では、また明日!
『終身雇用制』は、本当に否定すべきものなのか?
こんにちは。水口です。
今日は、昨日の話と関連して、雇用制度について
考察してみたいと思います。
■ 「特殊スペシャリスト」と「終身雇用制」
昨日の話というのは、仕事を3つに分類するという考え方の話でした。
□ 単純労働
(基本的に誰でもできる仕事)
□ 特殊スペシャリストとしての仕事
(その会社以外で能力を活かすのは難しい仕事=やや転職しにくい)
□ 汎用スペシャリストとしての仕事
(会計・人事・マーケティング等の業種に関係ない仕事=転職しやすい)
という3つです。
この3つのうち、「特殊スペシャリスト」の仕事は、終身雇用制と深い関係が
あります。
終身雇用が基本だからこそ、安心してその分野に打ち込めるという面が
あるわけです(狭い業界のスペシャリストは、その会社を辞めると次の仕事
を探すのが大変ですから)。
逆に、雇用が不安定な状況が長く続くと、色々な会社で働ける仕事
(=手に職を持つタイプ)の「汎用スペシャリスト」を希望する人が増えるの
は当然のことです。
しかし、これは日本という国にとっては危険なことです。特殊スペシャリスト
がいなければ、日本の製造業の力は弱体化するのは間違いありません。
(中国やインド、他のアジア諸国などでは作れない高付加価値製品が
日本の会社から消えてしまうかもしれません。そうなると、人件費も
他国並にならざるを得ず、それは製造業以外にも波及します・・・)
というわけで、私は実は終身雇用については肯定的な見方をしています。
むしろ、日本の「強み」であると考えています。
■ 終身雇用制否定論者の言い分
一方、終身雇用制を否定する風潮が、現在目立つようになっています。
その発端は「派遣切り」にあるわけです。
そもそも、製造業などで人件費の安い派遣労働者を増やしたがるのは、
現状の終身雇用の仕組みを守りつつ、人件費を下げるという狙いが
あったのは否定できません。
それが「派遣切り」等の問題を生んだわけだから・・・、
「悪いのは終身雇用制だ」「終身雇用制を見直すべきだ」
という論調があります。
「終身雇用制を見直し、正社員も首を切られるようにすれば、みんな
平等になるからいいじゃないか」という主旨です。
しかし、私はこれには賛同できません。
製造業での派遣労働者の扱いは見直すべきだと思いますが、「終身雇用」
を無くせば解決するというものでもありません。むしろ、弊害が大きいです。
労働力の流動化を推し進めると、製造業は、特に高付加価値製品を作る
製造業は確実に弱体化するはずです。(← 実際に製造業で研究開発を
していた人間の意見です)
私には、「終身雇用否定論者」の方は、日本の製造業をアメリカのように
弱体化させたいという狙いがあるのか、あるいは、日本を「金融立国」化
するという野望があるのか・・・? というふうに見えてしまいます。
(もちろん、そんなつもりは無いのでしょうけど)
しかし、せっかくの「強み」を弱体化させてどうするんでしょうか・・・?
というわけで、先ほどの「終身雇用制が無くなれば、みんな平等」的な
考えは、一見魅力的です。しかし、これを実行すると・・・、みんな平等に
はなるけれど、国としての国際競争力は落ちていく。という結果を導く
と思います。これが良いこととは到底思えません。
(こちらの記事↓の中にある、H.ミンツバーグ氏のご意見もご参考に)
『「会社は株主のもの」は誤り』は誤りだけど・・・
■ 解決策は?
では、どういう解決方法があるのか? という話ですが、
「終身雇用」をもう少し分解して考える必要があります。
むしろ、現在実質的に問題なのは、「終身雇用」よりも「年功給」のシステム
だと思います。
日本の企業は、長く「年功給」的なシステムを取ってきました。
(名目上は「職能給」で、実質的にはほぼ年功給という会社も多いです)
年功給とは、「会社への貢献度」よりも「勤続年数」に従って、賃金が上がって
いくシステムです。これは悪いことばかりでもないと思いますが、現在は少々
無理が来ているように思えます。
これを具体的に改善するには、年代が上の人の賃金を減らし、若手の人数
を増やす。という方向になると思います(派遣よりも直接雇用を増やします)。
もちろん、賃金制度を変えるには、大きな抵抗がありますから、すぐにできる
ものではありませんが、長い目で見ればその方向に行かざるを得ないのでは
ないでしょうか。(こうすうrと流れとして「同一労働同一賃金」にも近づきます)
そして、ここがポイントなのですが・・・、
この2つ、
□ 年功給 → 年齢が上がると賃金が上がる
□ 終身雇用 → 正社員の首切りをするか、しないか
は、実は直接の関係はありません。分離可能なものです。ですから終身雇用
を守ったまま、賃金制度を変えることだって可能です。
※ つまり、先ほどの「終身雇用制が問題」という話は、実は「年功給」の
問題と「終身雇用」をすり替えているわけです。あるいは。終身雇用と
年功給が不可分なものと決めてかかっているということです。
こういう論旨のすり替えは、話がこじれる元です・・・。
というわけで、私の意見は・・・、
確かに、「年功給」は見直していく必要があると思います。「同一労働同一
賃金」に近づけるためにもこれは必要です。
しかし、私は「終身雇用制」に関しては、あくまでも肯定的な見方です。
やめるべきではないと考えています。
もちろん、人それぞれ考え方はあっていいですし、私の考えを押しつける
つもりはありません。ただ・・・、
少なくとも、「終身雇用」と「年功給」の問題を分離せず、ひとくくりのまま
切って捨てるような論調は『眉に唾して』聞いた方がいいと思いますよ。
(確信犯的にごまかして語る人もいますから・・・)
今日の記事作成時間は51分でした。
では、また明日!
にわかに話題になっている? 「ワークシェアリング」について
こんにちは。水口です。
8日の「ワッセナー合意」の話で、「ワークシェアリング」という言葉を出しました。
私はこの「ワークシェアリング」を、「数年前に流行った言葉」という認識でいま
したが、ちょうどその翌日のニュースでこの言葉が紙面を飾っていましたね・・・。
■ 「ワークシェアリング」のとらえ方
「ワークシェアリング」とは、「従業員同士で仕事を分け合うこと」=人数を増やし、
1人当たりの勤務時間は短くすることを指しています。
これには2つのパターンがあります。
□ 雇用維持型
企業の業績が悪化した場合に、「人減らし」をする代わりに、
全員の労働時間を減らす
□ 雇用創出型
短時間勤務により、雇用機会を増やす(人数を増やす)
現在言われているワークシェアリングは、前者が主だと思います。
※ 「ワーク(仕事)」を「シェア(共有する・分ける)」という語感のためか、後者を
期待する声も多いと思いますが、現状それができる企業は少ないでしょう。
■ 「ワークシェアリング」導入における課題
前者のワークシェアリングだと、
・ まず、残業をゼロにする
↓
・ さらに、勤務時間を短くする
(その分、賃金もカットになる)
という流れで行っていくことになるわけですが・・・、これは、あくまでも
「サービス残業」が無いことが前提であり、サービス残業が残っている職場で
実施しても、単なる「給料減らし」にしかなりません。
※ それでも、雇用維持のためにやる価値はある、という議論はあっていいと
思いますが、企業の側からは(サービス残業が残っている場合は)、あまり
胸を張って言えることではありません・・・。
というわけで、もし、政府が企業に対して、「ワークシェアリング」を実践する方向
に誘導したいのであれば、同時に「サービス残業」に対する規制をより厳しくする
のが筋ではないでしょうか。
また、企業側は「副業」に対してもう少し寛容になるべきだと思います。
(現状、就業規則で副業を禁止している企業が多いです。それに法的な
効力があるかどうかは、判例上微妙なのですが)
この2つ(サービス残業を無くすこと、副業を認めること)が実現されれば、私は
「ワークシェアリング」は結構良いものかもしれない、と思います。また、本気で
ワークシェアリング型の社会(企業)を目指すなら、この2つは必須だと思います。
問題は、今回の「ワークシェアリング」の議論が、そこまで本気のものかどうか。
「ワークシェアリング」というオブラートにくるんで、単なる賃金削減をしようとして
いるようにも見える・・・というのは、うがった見方でしょうか?
今後、「ワークシェアリング」議論はいろいろ出てくると思いますが、その「ワーク
シェアリング論」が、どこまで本気のものか、見極めることが必要だと思います。
■ アンケートでは?
関連して、こんなアンケートもありました。
Yahoo!ニュース - 意識調査 - ワークシェアリングに応じる?
(『』内は引用です)
『身近な同僚が解雇されるとしたら、あなたはワークシェアリングに応じる?』
という質問に対して、こんな結果↓が出ています。
(リンクが切れたときのために)
応じる : 56%
応じない : 45% でした
これは程度問題(どのくらい給与が下がるか?)がありますから、YES/NOでは
回答しにくいところがありますが、「応じる」が過半数を超えているのは、日本的な
メンタリティだと思いますし、実際、現在の日本の社会にも合っているように思い
ます。
※ 個人的には、労働力の流動性が高い社会にも少し魅力を感じますし、
たとえば、このブログを読むような方は、それに対する対応力を持つ方も
多いと思います。しかし、それは世の中全体で見れば多数派ではありません。
多くの人がその中でで生き抜けるようになるには、まだ時間が必要でしょう。
■ 別の動きをする会社も・・・
↓早くも動いた会社もあります。やることが早い・・・(汗)
日本電産 一般社員1万人の賃金を最大5%削減へ
(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
一般社員の賃金はグループ会社の中で業績により違って、1〜5%。
役員報酬は20〜50%削減。 とのこと。
このくらいの削減幅なら、普通は賞与で調整すると思うのですが、それをあえて
この時期に発表したのは、「こういうことをしてでも、雇用を維持する」という
メッセージが込められているのかもしれません。
個人的には、「ワークシェアリング」というオブラートにくるんだ実質的な賃金削減
を狙うよりも、この日本電産のやり方の方が、ずっと誠実だと思います。
今日の記事作成時間は60分でした。
では、また明日!
「派遣」「ワーク・ライフ・バランス」・・・ 対策のキーワードは、「ワッセナー合意」?
こんにちは。水口です。
今日は、ちょっと堅めの話です。
今後のために、「ワッセナー合意」という言葉を覚えておいた方が
いいかもしれません。という話です。
■ キーワードは、「ワッセナー合意」?
「週刊東洋経済」の1/10号に、『未来に希望を描けない!若者危機』という
ちょっとショッキングなタイトルの特集が組まれています。
その中に(82ページ)、
「 失業者と社会との接点作り
日本版ワッセナー合意を 」
というタイトルのページがありました。
前半の「失業者と社会の接点作り」というのは、イギリスで行われている施策
で、失業者手当と職業安定所、職業資格や教育・技能訓練を連携させた
取り組みのことを指しています。(これ、以前にNHKで見た記憶があります)
後半の「ワッセナー合意」というのは、オランダの話です。
ちょうど、「日経WOMAN」のサイトでも、それに関連した記事がアップされた
ところです。(↓こちらです)
ワークライフバランス先進国をリポート―
―女性が最も働きやすい国、オランダの秘密を探った!−
WOMAN白書:日経WOMAN
(こちらは「日経WOMAN」だけあって、女性に焦点を絞った内容になってます)
■ 「ワッセナー合意」とは?
この「ワッセナー合意」というのは、政府・企業・労働者が協議して決めたもの
で、当時不況の中で、正社員の労働時間を短く(賃金もカット)する代わりに
多様な働き方(労働時間)を認めるというものです。
そのおかげで、短時間勤務という働き方が選べるようになっただけでなく、
フルタイムとパートタイムの社員の待遇を均等にできたというものです。
正社員と同じ待遇で週30時間未満の短時間勤務もできるということです。
(もちろん、労働時間が減った分の賃金は減ります)
さらに、派遣労働者と正社員との均等待遇も義務づけられています。
まさに「同一労働同一賃金」を達成しているわけです。
ただし、これには法制度を変えていくなど、時間がかかったそうで、
「ワッセナー合意」が1982年。
「フルタイムとパートタイムの均等待遇」が1996年。
「派遣自由化」と「派遣労働者と正社員の均等待遇」が1998年。
となっています。
■ 日本も「ワッセナー合意」を作るべき?
このオランダに比べて日本は遅れていて、遅れているままに派遣の自由化
を進めたことが問題だ。という見方もできます。
・・・というわけで、「日本版ワッセナー合意」が必要だという議論は、今後
活発になってくるかもしれませんね(上記記事もそういう結論です)。
ただし、日本の場合は、「職務給」という考え方や制度がほとんど浸透して
いないところからのスタートなので、オランダ以上に実現は厳しいかもしれ
ません。オランダが十数年かかっているから・・・それ以上?
実際のところ(先日も書きましたが)、正社員と派遣社員を均等待遇
にするためには時給をいくらに設定すればいいのか? という問いにも、
うまく答が出せないのが現状です。
※ たとえば、日本では「課長」ではないけれど、課長待遇の給与を
もらっている人もいます。これは課長という「仕事」ではなく、
課長級の「職能」(能力)である、という評価に対して給与が
決められているからです。
早い話が、日本の会社の多くは、正社員の間においても
「同一労働同一賃金」になっていないわけで、正社員の給与
制度を総替えするところから始めなければいけないわけです。
(さらに 「サービス残業」や「名ばかり管理職」も障害になります)
元々「職務給」が一般的だった国と、「終身雇用」前提で「職能給」
(実際は「年功給」に近い)が一般的な日本では状況が違うわけです。
もし、日本で「同一労働同一賃金」にしようとすれば、まず、年齢の高い
層の給与を下げるところから始めなければいけないわけで、それには
相当な抵抗があるでしょう・・・。
ですから、制度を変えていくとしても、長い時間がかかると思います。
それで私は「同一労働同一賃金にすればいいんだ」と、簡単に言う
人をちょっとうさんくさく感じてしまいます・・・。
※ 「同一労働同一賃金を目指す」というなら分かりますが、
いかにも簡単にできそうな口ぶりで言うのはごまかしがある
と思います。(「だから今のままでいい」とも思いませんが)
■ 日本で「ワークシェアリング」が実現したら?
先の「ワッセナー合意」は、「同一労働同一賃金」という見方だけでなく、
以前少し話題になった(最近聞かない?) 「ワークシェアリング」という
観点でも画期的なものです。
雇用者1人当たりの年間労働時間で言うと、日本は1800時間以上
ですが、オランダは1336時間(2006年)だそうです。
(日本はサービス残業で実質もっと長いかもしれません)
これは、ざっくり言うと3割近く削減ということです。
パートタイマーの比率が高いので(3割以上)、フルタイムの人同士を
比べた場合にはここまでの差は無いと思いますが、それでもこういう
社会が実現すると、ライフスタイルも相当変わってきそうです。
そういえば、私が今の仕事を始めるために前の会社を退職したとき、
もし「パートタイム」でできるなら、もうしばらく務めてもいいのにな・・・
と考えたことがありました。
将来的には、そんな使い方もあっていいのではないでしょうか。
とはいえ、日本ではいまだに「副業禁止」という会社も多いですが・・・
そういう面も変わっていった方がいいのかもしれません。
(もちろん、本業に差し障りのある副業はダメですけど)
今日の記事作成時間は72分でした。
では、また明日!
会社にも「夜スペ」が必要?
こんにちは。水口です。
今日は、特に経営者や管理職、人事担当の方に聞いてほしい話です。
■ 「夜スペ」が生まれた背景
まずは雑誌の話です。
先週出た「PRESIDENT」は、『心が熱くなる!仕事人ドラマ30』と題して、
色々な業界の社員さん(一部は経営者)のエピソードを掲載しています。
その中に、「サピックス」の企画営業部責任者 河合尚男さんのエピソードが
ありました。
「サピックス」という塾の名前をご存じない方も、「夜スペ」という名称は
聞いたことがあるのではないでしょうか。
「夜スペ」とは、公立中学校が学習塾と連携し、学校の校舎で塾の講義を
夜に行っているものです。
1日に45分の講義を3コマが基本。(週4日、月48コマ)
ちなみに、当初は成績上位者に限定したクラス編成だったのですが、
現在は希望すれば誰でも参加できるようになっているそうです。
この「夜スペ」、私は「面白い試みだな」と思っていたくらいで、詳しくは知ら
なかったのですが、あらためて(検索して)意見を拾ってみると、賛否両論が
あるようですね。
とはいえ、実際に学校に提案して回った河合さんのエピソードを聞くと、
(やり方の検討は必要だとしても)、本質的に学校が抱えている問題に
正面から向き合おうとしているように思えます。
(『』内は引用です)
『 社内では「利益を追求できない公立中学でやることに意味があるのか」と
批判的な声もあった。だが河合は学校を訪ね歩くうちに、どんな学校にも
共通する問題に気づいていた。
それは教師の多忙さだった。(中略) 今、教師が教えることに集中できない
状況にあるとすれば、学校の仕組みも変わるべき時期にさしかかっている。
そして日々成長する子どもたちは、大人たちの結論を待ってはくれない。』
(プレジデント 2008/12/29号 101ページより引用)
ちょっと格好つけすぎ感?もありますが、熱くていいですね。
私の個人的意見としては、授業だけでは物足りないという成績上位者
(「落ちこぼれ」の逆で「吹きこぼれ」とも呼ばれています)に向けた施策を
打つこと自体はあっていいんじゃないかと思っています。
(公立校ですから、やり方は吟味しないといけませんが)
とはいえ、ここで「夜スペ」の是非を議論したいわけではありません。
先の引用にあった、「教師の多忙さ」に似た状況は、現在会社の中でも
起こっているのではないか?という気がしているのです。
■ 会社にも「夜スペ」が必要?
現在は、多くの会社で、昔と比べてOJTが機能しにくくなっているのでは
ないでしょうか。
※ OJT=On-the-Job Training
具体的な仕事を通じて教育し(教育を受け)、業務を
身につけたり、スキルアップしていくこと
その原因の1つは「業務の多忙さ」です。
IT技術の進歩による業務効率化が進んだ反面、妙に多忙感があり、後輩や
部下に充分に教えるだけの余裕を無くしている人(職場)が増えているのでは
ないでしょうか。
「業務効率化による多忙感」として、典型的なものは「メール処理に追われて
時間が足りなくなってしまう」という状況です。
また、効率化した分、人員配置が見直されていることもあるでしょう。一応
仕事は回るけど、なかなか教えるための時間が作れないということになり
がちではないでしょうか。
もう1つの原因は、「お互いの仕事を知らない」ことです。
たとえば、初歩的なマナーの話で言うと・・・、昔なら電話のマナーが悪ければ
(周りにも聞こえますから)、注意することもできました。しかし、メールによる
やり取りになると、実際のマナーがどうかは分かりません。
(上司にも必ず「cc」で送るという手法もありますが・・・上司もタイムリーに
チェックするのは難しいのではないでしょうか)
マナーに限らず、お互いの仕事を知らないから、指導やアドバイスがうまくでき
ないという状況は確実に増えているように思います。
一方、最近の若手社員は(たとえば私の世代と比べて)、学習意欲や、自分
を向上させようという意欲が旺盛だと感じます。
これは、逆に言えば、会社側が充分な教育機会を提供できないことが、社員
の不満になり兼ねないわけです。(「背中を見て学べ」、「習うより盗め」式の
教育は、今はあまり受け入れられてないですし・・・。)
そんな中で、先の「夜スペ」的な、社員研修(または勉強会的なもの)は、
有効ではないか? と私は考えています。
会社ですから、時間さえ取れれば「夜」である必要はありませんが、社内で
「塾」のような形で、レベルアップするための学習機会を定期的に持つことは、
有効な気がします。
もちろん、社員教育としての新入社員研修や、階層別研修などもいいの
ですが、もう少し日常的な、くり返し学ぶ学習機会があってもいいのでは
ないでしょうか。自分が社員なら受けてみたい気がします。
■ 運営側から見ると・・・
では、私も研修講師ですから、その視点も入れて具体的に考えてみます。
たとえば、スポットで1日研修をやる代わりに、月に1回・60分〜90分の
研修を4回に渡って行うという案を考えてみます。
こうすると、
・ 1回あたりの負担は少なく
・ 継続的に学ぶ機会が持てる
・ 実務の中で実践した結果をフィードバックできる
と、色々メリットがあります。
デメリットは、外部講師を使って、1日研修の代わりに4回に分けて
講師を呼ぶとなると、その分費用がかさむことです。
(また、研修運営者も、出欠の管理等に手間が少しかさみます)
しかし、これを「夜スペ」と同じように、1日に複数の講義を行う(コマ数を
増やす)ようにすれば、少なくとも費用面の問題は無くなります。
※ 1日に違う研修を4コマ行い(それぞれ内容と対象者が違う研修を)、
それを計4回行うとすれば、提供する内容も、講師の稼働時間も、
4つの1日研修を行うのと同じになります。
このやり方では、講師が複数の講義に対応できなければいけませんし、
講師の立場で言えば、1日研修を4回やるよりも手間がかかります。
(ですから、普通は研修会社はこんなこと提案しないはずです。)
しかし、受講者の学習効果を考えるとメリットがありますから、一考の価値
があると思います。いわゆる「研修」というよりは、「塾」に近いイメージで
行うと、面白い結果が得られそうな気がします。
(社内の活性化という面でも、くり返し行うのは効果があると思います)
これ、結構良いアイディアだと思うのですが、どう思いますか?
良い社内講師が見つかり、(その人が時間を取れるならば、)すぐにでも
実現できると思います。一度検討されてみてはいかがでしょうか。
私がこのアイディアに惹かれるのは、時間管理という分野は、特にこういう
サイクル(講義 → 実務で実践 → 講義でフォロー → ・・・ )と相性が良い
からでもあります。ですから、私も機会があればやってみたいと思います。
今日の記事作成時間は77分でした。
では、また明日!
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