「逆算型(料理型)」段取りを行なうためのポイント
こんにちは。水口です。
今週は「タスク管理」週間として、タスク管理にまつわることがらを
取り上げています。
昨日は、タスク管理に関して頂いたご質問を取り上げました。
今日も、引き続いて別のご質問、今回はタスクに関連する「段取り」
の話です。
■ 「逆算型」段取りのやり方
頂いたご質問というのは、「仕事力が3倍アップする時間活用法」で
取り上げた「逆算型(料理型)」の段取りのやり方をもう少し詳しく
知りたいというものでした。
■ 「段取り」の手法−1:「逆算型(料理型)段取り」
□ 「逆算型」段取りについて
「逆算型段取り(料理型段取り)」は、プロジェクトマネジメントで
用いられる「ネットワーク図」を簡素化したものです。
※ 「ネットワーク図」にも色々ありますが、最も有名なものに、
「PERT図」と呼ばれるものがあります。 (PERT図は最近は
あまり使われなくなっているという話も聞きますが・・・)
□ 逆算型段取りの特徴
「逆算型段取り」の特徴は、文字通りゴールから逆算することにあります。
これは、「レシピの無い料理」のレシピを自分で作る作業と似ています。
(それで「料理型段取り」とも呼んでいます)
たとえば、料理の本などでレシピが入手できる場合、そのレシピに従って
作ればいいですが、レシピが入手できない料理(お店で食べた料理など)
を再現したい場合は、自分でレシピを作ることが必要になってきます。
(そういうのが得意な人って、いますよね)
料理の場合は、「味」から逆算して、作り方や材料を逆算していくという
難しさがありますが、仕事の場合、特に自分が普段行なっている仕事に
関連したことなら、逆算するのはそう難しくありません。
まず、どんな仕事にも、その仕事のゴール(達成したい姿)がありますから、
そのゴールを明確にし、次にそのゴールを達成するために必要な直前の
作業(タスク)を考えます。さらに、その作業を行なうために必要なタスク
(やアポイントメント)を考えていきます。
そして、この「直前に必要な作業」は1つだけとは限りませんから、2つ以上
に枝分かれする部分が出てきたりします。このタスク同士の関連づけが
なされたのが「ネットワーク図」です。
このネットワーク図を作るやり方として、秀逸だと思ったアイディアが
この本↓にかかれている「3つの質問」です。
三方良しの公共事業改革
「公共事業」というタイトルに引いてしまう人もいるかもしれませんが、
これは良書だと思います。
さて、その3つの質問とは、
「この前にやる段取りは何ですか?」
(直前に必要な作業を考える)
「他にないですか?」
(枝分かれを考える)
「○○したら××できるんですね?」
(逆算して考えた結果を、今度は逆算の逆算、つまり実際の
実行順で検証する)
というものです。(カッコ内は私のコメントです)
この3つの質問「だけ」をくり返していくことで、仕事の段取り、
ネットワーク図ができてしまうという質問です。逆算型段取りを
実行する「具体的なやり方」として、とても役に立つものだと
思います。
□ 「逆算型段取り」の使用目的
話は少し変わって、この「逆算型段取り(ネットワーク図)」が、なぜ
必要になるか? プロジェクトマネジメントでの例をあげると、主に
次の目的があります。
・各タスクの前後関係(依存関係)を明確にする
・全体の所要期間を見積もる
(クリティカルパスをはっきりさせる)
「クリティカルパス」というのは、複数に枝分かれする工程の流れの中で、
余裕の無い(最も遅い)工程をつないだ流れのことを言います。
(このラインで全体の所要期間が決まります)
プロジェクト全体の所要期間を見積もるためには、このクリティカルパス
を明確にする必要がありますし、プロジェクトが始動した後は、特に
クリティカルパス上のタスクが遅れないように管理する必要があります。
それで、プロジェクトにおいては、このクリティカルパスが重要なんです。
ただし、プロジェクト内のタスクのほとんどを自分が行なう場合には、
クリティカルパスの算出や管理はあまり重要ではありません。不確定
要素の高い(時間が読めない)仕事を優先する、という原則を守る
だけで構いません。むしろ、「所要期間」よりも「所用工数(所要時間)」
の方に着目すべきです。
(それで、「仕事力が3倍アップする時間活用法」では、クリティカルパス
のことに ついてはほとんど触れていないというわけです。)
と、ここまでが「逆算型段取り」についての補足的な解説です。
分解してできたタスクは長期スケジュール(プロジェクトの地図)、
または毎週のスケジュール(時間管理ツール)に入れることが
重要です(最終的にこれをやらないと意味がありません)。
■ 「逆算」と「リストアップ」
プロジェクトマネジメントには、必要なタスクを洗い出す手法として、
もう1つ「WBS」と呼ばれるものがあります。
こちらは、ネットワーク図のような仕事の前後関係が図解化されて
いるわけではなく、仕事をリスト化したものです。
(階層構造を作りながらタスクを分解します)
これを簡素化したものが、「仕事力が3倍アップする時間活用法」に
ある「リストアップ型(買い物型)段取り」です。
なぜ、プロジェクトマネジメントでは、「ネットワーク図」と「WBS」の2つの
手法を使うかというと、その使用目的が違うからです。
□ 「リストアップ型段取り」の使用目的
「WBS」「リストアップ型段取り」を使う目的は、
・タスクをもれなく洗い出す
・タスクの一覧表として使用する
(全体の所用工数(所要時間)を算出するなど)
というものです。
□ 両方使うか? 片方か?
プロジェクトマネジメントでは、ネットワーク図もWBSも両方使います。
(一般的にはWBSを先に作り、次にネットワーク図を作りますが、
逆でも構いません。どちらにももれが無いことが前提ですが)
ただし、自分のスケジュールを作るための前段階としては、どちらか片方
だけでも構いません。タスクを分解すること、タスクにもれが無いこと、
それを「自分の」スケジュールに入れることさえ出来ていれば、基本的に
問題はありません。
「仕事力が3倍アップする時間活用法」では、仕事の内容によって
どちらか使いやすい方を使えば良い、としているのは、そういう理由が
あるからなんです。
※ ネットワーク図もWBSも、単独では足りない部分があります。
(特にWBSでは「クリティカルパス」が分かりません)
しかし、自分が主体で行なう仕事がほとんどの場合は、
クリティカルパスはあまり重要ではなく、自分のスケジュールに
確実に落とし込むことが重要です。
(よく言っている「タスクの実行日を決めていく」のがポイントです)
今日の話は、「仕事力が3倍アップする時間活用法」をお読みの方向け
の話でした。明日はまた違う「タスク管理」のご質問を取り上げます。
今日の記事作成時間は75分でした。
では、また明日!
時間管理術研究所の無料メールマガジンで
モチベーションアップしてみませんか?
Copyright (c) 2005-2014 BizARK Inc. All rights reserved.