現在のベスト「なぜなぜ」本: 『なぜなぜ分析10則』
こんにちは。水口です。
今日は本の話です。
■ 「なぜなぜ分析10則」 という本
先日、このブログで「なぜなぜ分析」の話をしました↓。
正しい「なぜなぜ分析」と、だましの「なぜなぜ」:(と「要因と原因」の違い)
(こちらは2006年に書いたものです↓)
「なぜなぜ分析」 の難しさ・・・について
そんな話をしているところでタイミング良く、「なぜなぜ分析」の本が出ました。
早速購入しました。(180ページで2,100円。ちょっと高い・・・?)
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なぜなぜ分析10則―真の論理力を鍛える
著者:小倉 仁志
販売元:日科技連出版社
発売日:2009-03
クチコミを見る
(なぜか表紙の画像がamazonに登録されていません・・・)
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「なぜなぜ分析」に関する本、特に具体的なやり方や、実施する際の注意点に
ついて書かれたものは、実は非常に少ないのが現状です。
たとえば、「トヨタ式」について書かれている書籍では、必ずといっていいほど
「なぜを5回くり返す」という話が出てきます。しかし、それは簡単な話だけだっ
たり、ごく簡単なチャートが載っているだけだったりなんです。
実際のところ、それだけでは「なぜなぜ分析」を実施するのは難しいです。
※ だから、「なぜを5回」という言葉だけが一人歩きしがちな
現状があるのかもしれません・・・。
ちなみに、「なぜなぜ分析」に関する本として、先のブログ記事(2006年の方)
で2冊の本を紹介していますが、実はその2冊の著者は同じ方です。その著者
(小倉仁志さん)の最新刊が上記の本です。
■ 「なぜなぜ分析」を学ぶために
この本のやり方は、著者がコンサルティング等の中で積み上げてきたノウハウが
元になっていますので、これが「業界スタンダード」というわけではありません。
しかし、「なぜなぜ分析」を実際に取り組んでいた私の目で見ても、なぜなぜの
ポイントはかなり押さえられていると感じます。
↑何だか偉そうに言ってしまってすみません・・・。
私は「なぜなぜ分析」を作って、その元祖と言われる某社や関係会社に
報告したこともありますので(苦労しましたが・・)、「なぜなぜ」のポイント
は理解できている方だと思います。また、社内で作成の指導もしました
ので、つまづきやすいポイントもある程度はつかんでいます。
そもそも、これだけ充実した「なぜなぜ分析本」は、他には見当たりません。
また、著者の過去の著作と比べても、より分かりやすくなっています。
私が知る限り、「なぜなぜ分析」を書籍で学ぶには、この本が現在ベストです。
・ 「なぜなぜ分析」について、書籍で学んでみたい方
・ 仕事で「なぜなぜ分析」をやらなければいけないけど、
「これでいいのかな?」と、ちょっと自信のない方
には、無条件でこの本をおすすめします。また、工場や製造現場には1冊
常備しておくと良いかもしれません。
※ ただし、この本は製造業にお勤めの方向けに書かれた本です。製造業
以外の方には、ちょっと分かりにくいかもしれません。難解な用語がある
というわけではありませんが、事例などがつかみにくいかも・・・。
■ 「なぜなぜ」を自分の仕事に応用するには?
この本は「なぜなぜ」の指南書として良いと思うのですが、個人的には
もっとシンプルに(製造業以外の人にも分かりやすく)ポイントをまとめる
ことができそうな気がしています。
また、なぜなぜのやり方だけでなく、それを「実際の仕事に活かす」ための
ポイントがまとまれば、役に立つ局面も増えるのではないかと思っている
のですが・・・ そもそもそういうニーズはあるのか?というのが気になる
ところです。(ご意見がございましたら、頂けますと幸いです)
もともとは個人的に、「なぜを5回くりかえす」という言葉だけが流通したり、
最初から結論ありきの「だましのなぜなぜ」が横行したりする状況を見かねて
何かすべきではないか?と思ったところから始まったわけなのですが・・・。
今日の記事作成時間は40分でした。
では、また明日!
正しい「なぜなぜ分析」と、だましの「なぜなぜ」:(と「要因と原因」の違い)
こんにちは。水口です。
今日は「なぜなぜ」の話です。
(その関連で「要因と原因」の違いの話もあります)
■ 「なぜなぜ分析(なぜなぜ解析)」をご存じでしょうか?
『なぜなぜ分析』または『なぜなぜ解析』と呼ばれている、問題解決手法
(問題発見手法)があるのをご存じでしょうか?「なぜを5回くりかえす」と
言われる方法です。
※ 『なぜなぜ分析』という呼び方の方が、使われる頻度が高いようなので、
以下、「なぜなぜ分析」で統一します。
私は前職の最後に「品質保証」という部門で仕事をしていたこともあって、
この「なぜなぜ」は実践してきました。実は、結構苦労したのですが・・・(涙)、
そのおかげで、「なぜなぜ」の「ツボ」は押さえているつもりです。
(一昨昨年にも、このブログで少し触れたことがあります↓)
「なぜなぜ分析」 の難しさ・・・について
■ 「なぜなぜ」は誤解されている?
この「なぜなぜ分析」または「なぜを5回くり返す」という言葉、最近耳にする
ことが少し増えてきたかな・・・という感じがあるのですが、どうも正しく紹介
されていない例が多くて、ちょっと気になっています。
ちょっと乱暴というか何というか・・・、
「なぜ○○になったか?」→(△△だから)→「なぜ△△になったか?」
→(□□だから)→「なぜ□□になったか?」→ ・ ・ ・
と、とにかく「なぜ」をくり返せばいいという説明が目立ちます。
(「非技術系」コンサルタントの方が、よくこういう説明をしています)
取引先から、そして社内から、これ関連でバシバシと突っ込まれてきた経験
からすると、そんな安直な「なぜなぜ」は受け入れがたいものがありますし、
それでは決して真因(真の原因)にたどり着けないことは保証できます。
というように、「なぜなぜ」についての正しい知識が不足している・・・という
状況があり、あらためて危機感を感じています。結局、一時の流行り言葉
として流されてしまい、実際に活用されないのではもったいなさすぎます。
(実際はとても有効な手法なのに)
■ 「だましのなぜなぜ」の例
「なぜなぜ」の失敗例はいろいろあります。上記の(一昨昨年の)記事で例と
してあげた、「社長が悪い!なぜなぜ」もその1つです。
それ以外には、「一直線なぜなぜ」も要注意です。
(上記のとにかく「なぜ」をくり返すという説明もそれです)
「一直線なぜなぜ」というのは、私がつけた名前ですが、
起こった現象
↓(なぜ?)
その原因
↓(なぜ?)
さらにその原因
↓(なぜ?)
さらにさらにその原因
↓(なぜ?)
さらにさらにさらにその原因
・
・
と、一直線に(枝分かれせずに)進んでいく「なぜなぜ分析」です。
実際には、1つの現象に対して考えられる要因は1つであることの方が
珍しいですから、それぞれ複数の要因に枝分かれしていくのが普通です。
(ですから、枝分かれの数は最終的にかなり多くなります)
実は、その「要因」を検証していって、真の「原因」を』見つけ出すという点が
「なぜなぜ」の重要なポイントの1つなんです ※。
(これはクリティカルシンキング能力が問われる、なかなか難しい部分です)
そんなふうに、実際には枝分かれなしで一直線に「なぜ」が進むようなことは
まずあり得ません。逆に言えば、「一直線なぜなぜ」は最初から結論ありきの
「決めつけ」にすぎませんし、本来の「なぜなぜ」の主旨とは正反対のものです。
(「なぜなぜ」を行う目的の一つは「思い込みを排する」ことだからです)
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【2011/5/2 補足】
「一直線のなぜなぜ」がすべて悪いというわけではなく、一段階ずつ、
確実に証拠を見つけ、原因を突き止めた分析であれば問題ありません。
(それが「なぜなぜ分析」の理想でもあります)
ここで問題にしているのは机上の考えで要因を並べただけの分析です。
「結論ありき」で分析された場合、このような「一直線なぜなぜ」が
生まれる傾向がありますが、もちろんこれは本来の「なぜなぜ分析」
の主旨とはまったく異なります。これが以下の「だましのなぜなぜ」
です。
以下の「一直線なぜなぜ」は「結論ありきのなぜなぜ」という意味
だと考えて頂ければ幸いです。
(初出時の原文は、記録を残す意味で改変せず残しておきます)
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本当は「決めつけ」なのに、「分析」した風に装っているので余計たちが悪いと
いうか・・・、こういうなぜなぜは一種の「だまし」と言ってもいいと思います。
「一直線なぜなぜ」=「だましのなぜなぜ」と言っていいと思います。
こんな「だましのなぜなぜ」が横行するのは見てられないですから、ちゃんと
「なぜなぜ分析を仕事に活用する」ためのノウハウをまとめて公開したいと
いう気がする今日この頃なのですが・・・。
(今も少しまとめかけていますが、これは時間がかかりそうです)
それはそれとして(あまり期待しないでください・・・)、
「だましのなぜなぜ」には、だまされないように気をつけて下さい。
■ 「要因と原因の違い」
以下、上の「※」のところについての解説です。
※ 因果関係として考えられるものが「要因」。その中で、因果関係が
はっきり立証されたものが「原因」と考えてください。(さらに※)
※ 「原因」と「要因」の使い分けには諸説ありまして・・・、
国語辞典に載っている「要因」と、技術屋の世界で使われる
「要因」の意味は違うことがあります。
要因=原因の主要なもの・・・と書いている辞書もあるようで、ネット
で検索するとそういう答が目立つのですが、この解釈を技術屋、特に
製造業のエンジニア相手に使うと、恥をかくのは必至です・・・。
私がたたき込まれた「原因」はこれと同じです↓
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要因 (Factor) とは、特性に影響する(と思われる)管理事項をいう。
原因(Cause)とは、トラブルなど特定の結果に関与した要因をいう。
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こちらの↑解説が技術屋の世界で使われている要因と原因の違いです。
ちなみに、この文章はWikipediaの「特性要因図」の項にありました。
やるな・・・Wikipedia。
別の言い方をすると、
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「要因」=ある事象に影響する(ある事象を起こし得る)もの (=推定)
「原因」=今回その事象を起こしたもの (=事実)
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となります(これは私が今書いたものです)。
要因=factor、原因=Cause という言葉の訳ならば、こちらの解釈
(Wikipedia&私の解釈)の方が正しいことになります。すると国語辞典に
も載っている「要因=主要な原因」という解釈は間違いになります。
意味が2つあるんだろうか・・・? 不思議な現象です。
先の「なぜなぜ」で言うと、枝分かれするのは「要因」が色々出てくるからです。
その中から、問題を起こした「原因」を見つけるステップが重要なんです。
(ですから、最初から「一直線=要因が一系列しかない」では話になりません)
今日の記事作成時間は65分でした。
さらっと書くつもりが、「要因と原因」で時間がかかりました・・・(汗)
では、また明日!
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